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22/11/27●海外で日本のマンガが爆発的に売れた原因は、間違いなく「コロナ禍」が原因

『なぜいま海外で日本のマンガの売上が爆発的に伸びているのか? 欧米の出版関係者が語る“その熱狂”』という記事が、「クーリエ・ジャポン」に掲載された。元記事は英「ガーディアン」。
 記事の冒頭にこうある。
〈いまや世界中で親しまれている日本のマンガだが、とくにここ数年、欧米でその販売数が飛躍的に伸びている。日本のマンガはいかにして世界のメインストリームとなったのか、英紙「ガーディアン」が現地の関係者たちを取材した。〉

 というわけで、彼らが原因としてあげたのが、コロナ禍によるロックダウン。要するにマンガは、ロックダウンで閉じ込められた室内での娯楽の王様となったということ。
 米国の場合、NPDブックスキャンの集計によると、2020年のマンガの販売部数は968万部だったが、2021年には160%増の2520万部に急増。同年、マンガは米国の印刷書籍市場全体において、2番目に成長率の高いカテゴリーである恋愛小説の数字を3倍上回り、成長率トップのカテゴリーとなった。

 この現象は、日本のマンガが売られているほとんどの国で起こり、英国、オーストラリアなど英語圏は過去にない販売数の増加が見られたという。ロックダウン中、マンガの在庫がなくなったことも、人気に拍車をかけた。
 では、どんなマンガが売れたのか?
 編集者たちが挙げたのは、『東京喰種 トーキョーグール』や、『進撃の巨人』、『僕のヒーローアカデミア』、『鬼滅の刃』といったアニ化されたシリーズだった。

22/11/08●KADOKAWA、角川会長が五輪贈収賄で起訴も中間連結決算は好調

 KADOKAWAは、11月2日、2023年3月期中間(22.4.1~同9.30)連結決算の概要を発表した。連結売上高は1226億3900万円(前年同期比17.0%増)。営業利益132億3700万円(同33.2%増)、経常利益168億9700万円(同59.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益105億3700万円(同48.1%増)と大幅な増益を計上した。
「出版」「映像」「ゲーム」「Webサービス」「教育」「その他」の全6分野で、売上げが前年同期実績を上回った。とくにゲーム事業や、北米における出版事業が大きく成長した。
 とはいえ、東京五輪の贈収賄で会長の角川歴彦は、10月4日に起訴されている。角川容疑者は、11月5日、申し出ていた会長職および執行役員の辞職が受理され、正式に辞任した。

22/10/27●「読書の秋」は復活できるのか?読書推進月間「BOOK MEETS NEXT」開幕

 秋の読書推進月間「BOOK MEETS NEXT」が10月27日に開幕した。出版文化産業振興財団(JPIC)を中心に今年初めて行うキャンペーンで、デジタルスタンプラリーや『かがみの孤城』映画化記念フェアなど、全国の書店1900店超の書店がイベントを企画している。
 毎年恒例の「読書週間」や「本の日」と連携するなど、出版業界全体で書店店頭の活性化を目指すというが、この時代、いまさらそんなことが可能か?
 キャンペーンのアンバサダーには、作家の今村翔吾氏、角野栄子氏、中江有里氏など就任。読書を勧める。初日にスピーチしや今村氏は、読書が〝娯楽の王者〟の座に再び就くためには「書店、取次会社、出版社、作家、読者の方も一丸となって挑みかからないと奪還の道はない」と熱く呼び掛けた。

22/10/01●8月の書籍雑誌推定販売金額は801億円、前年比1.1%減

 2022年8月の書籍雑誌推定販売金額は801億円で、前年比1.1%減となった。書籍は423億円で、同2.3%減。雑誌は378億円で、同0.2%増。雑誌の内訳は月刊誌が315億円で、同0.3%増、週刊誌は62億円で、前年同率。返品率は書籍が37.9%、雑誌は41.8%で、月刊誌は41.5%、週刊誌は43.3%。 コロナ禍のなかで、一時的な書籍(とくにコミック)回帰はあったが、それも終わり、紙による出版は長期低迷を続けている。というか、もはや回復はない。

22/09/29●KADOKAWA角川会長逮捕で所沢の複合施設「サクラタウン」に暗雲が!

 9月28日の日経新聞が「 埼玉・所沢の巨大文化施設に暗雲、角川会長逮捕で」という記事を掲載、東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件でKADOKAWA会長の角川歴彦容疑者が逮捕されたことの波紋を伝えている。

 角川会長の鶴の一声で、約400億円を投じて誕生した国内最大級のポップカルチャー発信拠点「ところざわサクラタウン」の先行きに暗雲が漂っているというのだ。ここには、複数の展示場やホテルなどを含めた施設があり、所沢市も全面バックアップで街おこしの起爆剤としているが、これまでそれほど賑わっていない。とくに、コロナ禍になってからは、平日は人がまばらだ。

 クールジャパンの名の下に、インバウンド効果も狙ったが、完全に空振り。この状況に、今回の角川会長の逮捕劇が悪影響を及ぼすというのである。

角川ミュージアムは圧巻だ(HPより)

 記事は、次のように結ばれている。

「同社と所沢市は15年、「クール・ジャパン・フォレスト構想」を掲げ、サクラタウンを核にしたまちづくり計画を発表。アニメや漫画のファンなどを中心に、年間140万~180万人を集客する計画を立てた。日本アニメの海外人気をテコに、多くのインバウンド集客を見込んでいた。

22/09/10●八重洲ブックセンター本店が2023年3月で閉店

 東京駅前にある大型書店「八重洲ブックセンター本店」は9月9日、2023年3月で営業を終了すると発表した。 

 八重洲ブックセンターは、1978年にゼネコン大手の鹿島による出店で、国内最大の書店としてオープンした。売りは、100万冊の在庫。2016年にはトーハンが株式の過半数近くを鹿島から取得し、トーハンのグループ書店に組み込まれた。しかし、出版不況で業績不振、ここ数年は赤字が続いていた。同店は、2028年度に竣工予定の超高層大規模複合ビルへの入居を計画しているという。

 思えば、1970年代半ば〜1980年代半ばは、大型書店の時代だった。1975年に西武ブックセンター、1978年に八重洲ブックセンター、1981年に三省堂書店本店、東京堂書店と次々にオープンした。しかし、いまや西武ブックセンター(リブロ池袋)も、三省堂本店もない。20代、30代のとき、何度も足を運び、1日中、本を探し回ったことも、はるか遠い日の思い出だ。

都市型大型書店として人気だった©️Yahooニュース

22/08/08●2021年度電子書籍市場、前年比14.3%増の5510億円に!

 2021年度の電子書籍市場が、大幅に伸びたことが、インプレスグループのインプレス総合研究所の『電子書籍ビジネス調査報告書2022』で公表された。 
 それによると、市場規模は5510億円で、前年比14.3%増。内訳は「コミック」が4660億円、「文字もの等」(文芸・実用書・写真集など)が597億円、「雑誌」が253億円となっている。
 つまり、電子書籍市場は、コミックが全体の約85%を占める市場で、電子書籍といっても一般書籍は10%程度にすぎない。また、雑誌は4年連続で減少しており、いずれ、市場から消える運命にある。このまま、コミック市場が伸びていけば、2026年度に8000億円を超えると、インプレスでは予測している。

22/07/25●2022年上半期の出版物推定販売金額は前年同期比3.5%減の8334億円

 全国出版協会・出版科学研究所が『出版月報』7月号(7月25日発売)でレポートしているところによると、2022年上半期(1~6月)の、紙と電子を合算した出版物の推定販売金額は前年同期比3.5%減の8334億円。紙は5961億円(同7.5%減)、電子出版は2373億円(同8.5%増)で、全体ではマイナスとなった。ただ、出版科学研究所推計の紙の出版物販売額は取次ルートのみで、直販や書店との直接取引は含まれない。

[書籍]
 紙の出版物のうち、書籍は3526億円(同4.3%減)。文芸、ビジネス、文庫本、新書、学参など主要ジャンルがいずれも前年割れとなり、これまで好調だった児童書も約3%減少している。

[雑誌]
 雑誌は2434億円(同11.8%減)で、月刊誌(コミックス・ムック含む)は2033億円(同12.8%減)、週刊誌は401億円(同6.3%減)。月刊誌のうち、月刊定期誌は約5%減、ムックは約1%減、コミックスは約26%減と大きく減少した。

[コミックス]
 コミックスの約26%減という大幅なマイナスは、2020年の『鬼滅の刃』(集英社)、2021年の『呪術廻戦』(集英社)の『東京卍リベンジャーズ』(講談社)などのメガヒットがなかったことによる。ただ、コロナ禍の2年間を差引いてみた2019年比では、約10%増だ。

©️出版状況クロニクル

[電子出版市場]
 電子出版市場の伸びは鈍化。内訳では、電子コミックだけが増で2097億円(同10.2%増)、電子書籍(文字ものなど)が230億円(同0.4%減)、電子雑誌が46億円(同13.2%減)。 
 出版科学研究所は「コロナ禍の巣ごもり需要で増加したユーザー数の伸びが落ち着き、市場は成熟期に入ったと見られます」とコメントしている。
 電子コミックは、メガヒット作品こそ少なかったが、「ピッコマ」などマンガアプリの売れ行きが非常に好調で、縦スクロールコミックの伸びも目立ったという。 

22/07/05●日本漫画家協会、「インボイス制度導入」に反対声明

 7月4日、日本漫画家協会は公式ホームページで「現行のインボイス制度導入反対について」と題した声明文を発表した。先に日本SF作家クラブの理事一同も同様な声明を出している。

 インボイス制度の導入が決まれば、免税事業者取引も対象としていた仕入税額控除は2023年10月から6年間の経過措置を経て廃止されることになる。そうなると、漫画家、作家、イラストレーター、フリーライターなどは、インボイス(適格請求書)を発行できる課税事業者になるか、免税事業者のままで活動を続けるかどうかの決断を迫られる。

 そうなると、免税事業者のままでいる決断をした場合、漫画家や作家たちは、仕入税額控除ができなくなる納品先の企業から、当人の納税者としての立場を理由とした、不当な取引中止を申し渡されるリスクに直面する。

 さらに、前々年度の課税売上高が1000万円以下で「免税事業者」に該当する漫画家や作家が「課税事業者」への変更を余儀なくされることや、インボイスを発行できない場合、免税事業者であることを理由に取引を中止される可能性も生じる。

 また、インボイス発行事業者は「適格請求書発行事業者公表サイト」に本名が公表されるため、個人情報保護への懸念を抱く漫画家や作家もいる。

 日本漫画家協会の声明は、最後に「現行のインボイス制度には反対し、見直しを求めます」と訴えている。

22/07/02●小説はウェブ発が主流になり小説本は激減。紙の文芸は消滅か

 文春ウェブが『文芸市場の半分は「ウェブ発」の書籍が占める時代に…!? 市場縮小が進む文芸界で“ラノベ界隈”が見据える未来とは』という記事を掲載し、飯田一史氏の著書『ウェブ小説30年史 日本の文芸の「半分」』(星海社新書)より一部を抜粋して紹介している。

 文芸市場は、ここ10年間で半減し、しかも残ったその半分はウェブ発の小説の書籍化で成り立っている。つまりウェブ小説以外の文芸市場は4分の1になり、文芸市場の半分は「ウェブ発」の書籍が占める時代になったことを、本書は伝えている。
 日本出版販売が発表した調査によると、2010年の売上を100としたときの文芸市場の売上は2021年には46.4。市場規模の縮小が恐ろしいスピードで進行していることがわかる。
 さらに、進行しているのは、ウェブ発の文芸市場の4割がラノベであるということ。そのラノベ市場も、ピークは2016年で、市場全体としては下降線に入っている。こうしたことから見ていくと、いずれ紙による文芸というジャンルは消滅する可能性が高い。