投稿者アーカイブ mediatablet

23/05/12●米「タイム」誌の表紙になった岸田首相。抗議して “軍事大国化望む”を変更させる!

 米「タイム」誌は、次号の内容をウェブサイトで公開し、岸田総理の顔写真を表紙にし、「岸田総理大臣は自国を真の軍事大国にしたいと望んでいる」などと伝えた。しかし、その後、日本政府の抗議に会い、「日本を軍事大国に変える」とする記述を変更した。当初の記述は、「岸田総理大臣は何十年も続く平和主義を放棄し、自国を真の軍事大国にしたいと望んでいる」としていた。
 今回の特集記事は4月下旬に公邸で行われたインタビューを元に書かれたものだが、別に政府が抗議するようなものではない。抗議があったので、タイムズ誌はいちおうそれを受け入れ、ウェブは変更したが、紙の雑誌の表紙表現は変えなかかった。その表現とは、「岸田総理大臣は何十年も続く平和主義を放棄し、自国を真の軍事大国にしたいと望んでいる」というもの。なぜ、これに日本政府が抗議するのか? よほど後ろめたいと考えているとしたら、この政府は本当にどうしようもなく腐敗している。

23/05/01●朝日新聞大幅値上げ。愛知、岐阜、三重の3県では夕刊を休刊

『朝日新聞』が、5月1日から大幅に値上げされた。朝夕刊セット版の月ぎめ購読料は4400円から4900円に、統合版は3500円から4000円に改定された(いずれも税込み)。
 さらに愛知、岐阜、三重の3県では夕刊を休刊した。
背景にあるのは、部数急減、販売・広告収入の急減、加えて用紙代の大幅値上げ。値上げは『朝日』だけではなく、このとこと地方紙の値上げも続いている。しかしそれでも『朝日』よりは地方紙のほうが安いので、新聞販売店は盛んに地方紙への乗り換えを勧めているという。
 いずれにしても、これによって新聞離れはさらに加速する。

23/04/25●3月の出版界。雑誌、書籍とも市場衰退が進行中

 2023年3月の書籍雑誌推定販売金額は1371億円、前年比4.7%減となった。内訳は、書籍905億円で、同4.1%減。雑誌466億円で、同5.7%減。雑誌の内訳は月刊誌が398億円で、同5.0%減、週刊誌が67億円で、同10.1%減。返品率は書籍が25.6%、雑誌が39.6%で、月刊誌は38.7%、週刊誌は44.2%。
出版市場の衰退は進行中。毎月4~5%減が続いている。

23/04/15●『週刊東洋経済』(4月22日号)の「ChatGPT」特集が人気。なんと3刷に!

「ChatGPT」が空前のブームになっている。『週刊東洋経済』(東洋経済新報社、4月22日号)が特集すると、なんと売行き絶好調。4月27日出来で2刷、5月8日出来で3刷の重版が決まった。特集内容は、「ChatGPT仕事術革命」。同誌が3刷に達するのは、2021年7月31日号(相続の新常識)以来、約1年9カ月ぶりという。

『週刊東洋経済』(2023年4月22日号)
『週刊東洋経済』(2023年4月22日号)

2023年4月6日『日本経済の壁』(山田順・著、MdN新書)が発売されました

山田順の新著『日本経済の壁』(MdN新書、1,210円)が発売されました。

「インフレ税」がやってくる!

・日本の「賃金」が上がらなかった本当の理由
・記録的な「円安」の真因は、日米の金利差
・「EV乗り遅れ」トヨタはテスラを過小評価していた
・3度の「消費増税」が日本経済の壁!
・「少子化」なのになぜ、大学を減らさないのか?
・「欲望資本主義」の限界
・日銀は「金融緩和」を止められない
・インフレ率7%で11年後に「資産価値は半減」する

バブル崩壊以来、日本経済は長期停滞の「デフレーション」がずっと続いてきた。
その結果、物価が上がらないという恩恵はあったが、給料も上がらず、
日本人の平均賃金(購買力平価による)は、OECD先進34カ国中で24位まで低下した。
いまや、韓国のほうが平均賃金で日本を上回っている。
ここ数年、「なぜ日本の賃金は上がらないのか?」ということが、
メディアでさかんに取り上げられるようになった。
「港区の平均年収1200万円はサンフランシスコでは低所得」とまで
言われるようになった。
しかし、給料が上がらないのは、「円安」や「少子化」問題と同根で、
結局は経済低迷の結果だ。
1980年代末まで世界トップクラスの経済力を誇った日本が、
この30年余りでなぜ、ここまで衰退したのだろうか? 
家電、PC、携帯電話、半導体など、世界を席巻した産業は、
なぜ次々と競争力を失ったのだろうか?
なぜ、1社もGAFAに匹敵するような先進ビックビジネスを生まなかったのだろうか?
 この先、私たちを待ち構えているのは、人口減・少子高齢化による、
日本経済のパイの縮小と社会保障費の増大、そして増税だ。

23/04/03●『レコード芸術』休刊。趣味雑誌はもう成り立たない

 音楽之友社の『レコード芸術』が7月号で休刊することがわかった。同誌は1952年創刊で、クラシックレコード評論の専門誌、クラシック音楽界における重要なメディアだったが、部数減、収益減には勝てなかった。
 すでに音楽之友社では、いくつかの音楽雑誌を休刊にしている。ヤマハに支援を仰ぎ、子会社となったが、それでも継続は無理だった。
 『レコード芸術』の発行部数は10万部というが、はたしてどれほど売れているのか? 言えることは、音楽にしても、絵画にしても、またスポーツにしても、趣味関連の雑誌はもう成り立たないということだ。趣味を楽しむネットワークは、もうウェブに移ってしまっている。

『レコード芸術』4月号
『レコード芸術』4月号

23/02/25●電通「2022年日本の広告費」、総広告費が過去最高に

 電通は2月24日に、「2022年 日本の広告費」を発表。それによると、総広告費は7兆1021億円(前年比4.4%増)で、1947年の調査開始以来、過去最高となった。2022年はコロナ禍に加え、ウクライナ情勢や物価高騰などがあったが、インターネット広告費が3兆0912億円(前年比14.3%増)と大幅に伸長した。新聞、雑誌などのマスコミ4媒体広告費は2兆3985億円(同2.3%減)だったが、マスコミ4媒体由来のデジタル広告費は1211億円(同14.1%増)と好調に推移している。

2023/02/22●講談社決算、デジタル版権関連収入がメインに

 講談社は2月21日、第84期(2021・12・1~22・11・30)の決算を発表した。それによると、売上高1694億8100万円、前年比0.8%減、営業利益は191億円、同11.9%減、当期純利益は149億6900万円、同3.8%減。
 その内訳は、紙媒体の「製品」が573億5500万円、同13.5%減、デジタル版権関連の「事業収入」が1001億7200万円、同10.0%増。そのうちの「デジタル関連」収入は778億円、同10.9%増、「国内版権収入」は98億円、同13.6%減、「海外版権収入」は124億円、同35.2%増となっている。
 つまり、売上高の6割以上がデジタル版権関連となっていて、紙の出版物(書籍、雑誌)で事業を行なっているという旧来の出版社というイメージはなくなっている。
 これは集英社も同じ。集英社の決算も売上高1951億円のうち、デジタル版権事業収入が65%を占めている。
 このような業態になったのは、ウェブの進展でコミックが収益の柱となり、その関連ビジネスが広がったからだ。電子コミックの進展は、紙のコミックの激減を招き、書店の業態も変えた。例えば、いまは書店が人気コミックのシリーズ全巻を常時揃えておく必要はなくなった。
 このパターンは、コミックから一般書籍にも広がるはずだ、出版社も書店も大きく変わろうとしている。

23/01/26●2022年の出版市場は1兆6305億円で前年比2.6%減

 公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所は1月25日、2022年の出版市場(推定販売金額)を発表した。紙+電子は前年比2.6%減の1兆6305億円で、紙は6.5%減の1兆1292億円、電子は7.5%増5013億円。コロナ禍前の2019年比では、紙+電子は5.7%増、紙は8.6%減、電子は63.2%増となった。

 紙の出版物金額の内訳は、書籍が同4.5%減の6497億円、雑誌が9.1%減の4795億円。コロナ禍前の2019年比では、紙全体は8.6%減、書籍は3.4%減、雑誌は14.9%減。書籍は、これまで好調だった文芸書、児童書、学参、資格試験などの売れ行きが鈍化し、ヒットするものもシニア向けのものが多くなっている。2022年ベストセラー1位の『80歳の壁』(幻冬舎)の発行部数は60万部弱である。
 雑誌は、月刊誌(コミックス・ムックを含む)が前年比9.7%減の4017億円、週刊誌が同5.7%減の778億円。月刊誌の減少は、コミックス(単行本)が2桁減と大きく落ち込んだのが大きな要因だ。

23/01/19●「週刊朝日」がついに5月で休刊に!週刊誌の絶頂時代ははるか昔

 1月18日、朝日新聞出版から5月休刊(事実上の廃刊)が発表された「週刊朝日」。創刊は1922年で、総合週刊誌としては日本最古。
 最盛期は昭和30年代で、出版社系の週刊誌が創刊されるまでは、100万部以上の部数を誇っていたことも。司馬遼太郎の「街道をゆく」や山藤章二の「ブラック・アングル」「似顔絵塾」などの人気の連載企画が懐かしい。

 すでに、新聞社系の総合週刊誌はなくなり、出版社系の「週刊現代」「週刊ポスト」は週刊誌ではなくなった。時代はウェブに移り、週刊単位でニュース、情報を報道する意味もなくなった。
朝日新聞出版は「100年余りにわたって読者の皆さまから多大なるご愛顧をいただき心より御礼申し上げます。今後はウェブのニュースサイトや書籍部門により一層注力していく判断をしました」などとコメント。
 日本雑誌協会による「週刊朝日」の印刷証明付発行部数の過去3年は、次の通り。

 2020年…10万2475部
 2021年…8万2223部
 2022年…7万4173部