先日、6月10日、小学館は第84期(2021.3.1~22.2.28)決算を発表した。売上高は1057億2100万円(前年比12.1%増)。経常利益は89億4500万円(同23.4%増)、当期利益は59億9500万円(同5.7%増)で増益。4期連続の黒字決算となった。売上高が1000億円を超えたのは77期以来、7年ぶり。
売上高の内訳は、「出版売上」470億5300万円(同0.6%増)、「広告収入」91億3700万円(同0.5%増)、「デジタル収入」382億8700万円(同25.2%増)、「版権収入等」112億4400万円(同43.0%増)。全4分野で前年実績を上回り、好調に推移した。
「出版売上」では、「雑誌」が170億2400万円(同7.8%減)、「コミックス」が166億0800万円(同2.3%増)、「書籍」が119億4500万円(同8.2%増)、「パッケージソフト」が14億7700万円(同42.8%増)。4部門中、雑誌以外の3部門で増収となった。
この決算で重要なのは、「デジタル収入」382億8700万円、同25.2%増、「版権収入等」112億4400万円、同43.0%増という2つの分野が、「出版売上」を超え、しかも全分野の半分を占める500億円に迫っていることだ。
つまり、小学館は雑誌が主力の出版社からデジタル、版権収入が主力の小学館へと移行しつつあるということ。これは、講談社、集英社、KADOKAWA、大手でコミックを持っているところはみな同じである。つまり、出版事業はもはやデジタルで成立するようになり、出版社のイメージは従来かたちと変わりつつある。そして、それにともない、書店の価値はどんどん薄れていく。書店数が激減しているのは、こうした現実の反映だ。
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