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23/01/26●2022年の出版市場は1兆6305億円で前年比2.6%減

 公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所は1月25日、2022年の出版市場(推定販売金額)を発表した。紙+電子は前年比2.6%減の1兆6305億円で、紙は6.5%減の1兆1292億円、電子は7.5%増5013億円。コロナ禍前の2019年比では、紙+電子は5.7%増、紙は8.6%減、電子は63.2%増となった。

 紙の出版物金額の内訳は、書籍が同4.5%減の6497億円、雑誌が9.1%減の4795億円。コロナ禍前の2019年比では、紙全体は8.6%減、書籍は3.4%減、雑誌は14.9%減。書籍は、これまで好調だった文芸書、児童書、学参、資格試験などの売れ行きが鈍化し、ヒットするものもシニア向けのものが多くなっている。2022年ベストセラー1位の『80歳の壁』(幻冬舎)の発行部数は60万部弱である。
 雑誌は、月刊誌(コミックス・ムックを含む)が前年比9.7%減の4017億円、週刊誌が同5.7%減の778億円。月刊誌の減少は、コミックス(単行本)が2桁減と大きく落ち込んだのが大きな要因だ。

23/01/19●「週刊朝日」がついに5月で休刊に!週刊誌の絶頂時代ははるか昔

 1月18日、朝日新聞出版から5月休刊(事実上の廃刊)が発表された「週刊朝日」。創刊は1922年で、総合週刊誌としては日本最古。
 最盛期は昭和30年代で、出版社系の週刊誌が創刊されるまでは、100万部以上の部数を誇っていたことも。司馬遼太郎の「街道をゆく」や山藤章二の「ブラック・アングル」「似顔絵塾」などの人気の連載企画が懐かしい。

 すでに、新聞社系の総合週刊誌はなくなり、出版社系の「週刊現代」「週刊ポスト」は週刊誌ではなくなった。時代はウェブに移り、週刊単位でニュース、情報を報道する意味もなくなった。
朝日新聞出版は「100年余りにわたって読者の皆さまから多大なるご愛顧をいただき心より御礼申し上げます。今後はウェブのニュースサイトや書籍部門により一層注力していく判断をしました」などとコメント。
 日本雑誌協会による「週刊朝日」の印刷証明付発行部数の過去3年は、次の通り。

 2020年…10万2475部
 2021年…8万2223部
 2022年…7万4173部

23/01/02●日本の出版は大手4社がほぼ寡占状態にある

[出版状況クロニクル176(2022年12月1日~12月31日)]に、『ノセ事務所より、2021年の「出版社実態調査」が届いた。今回は501社の出版社の実績が掲載レポートされ、それは次の3ランクに分類されている。』という記事があり、興味深い。以下、引用してみたい。

J1出版社 10億円以上売上 247社

J2出版社 5億~10億円売上 104社

J3出版社 1億~5億円売上 150社

 それぞれの売上高はJ1が1兆5320億円、シェア93.9%、J2が661億円、同4.0%、J3が341億円、同2.1%、合計売上は1兆6322億円、前年比0.4%増となる。
 その第1の特色は1000億円を超える4社の突出ぶりで、それらは集英社、講談社、KADOKAWA、小学館である。
 第2の特色は日本の出版社の零細性で、5億円以下は254社、50.7%を占める。しかもJ3の従業員数は150社のうちの129社が10人以下で、独自の専門性にもかかわらず、その零細性を浮かび上がらせている。
 第3の特色は利益の脆弱性で、J1は7割強が利益を出しているが、J2、J3の中小出版社の大半は利益が上がっておらず、売上も減少している。
 21年のトータルでの0.4%増も上位出版社の電子出版、版権ビジネス、新たなマーケット開発によるものである。

22/12/21●講談社退社理由が「WEBTOON」を思いきりやることに納得

「note」のブログ『20年間勤めた講談社を退職しました。』が面白い。詳しい内容は省き、以下、冒頭と最後を転載させてもらう。この経緯と退職・転職理由に大いに納得した。

《はじめまして、ムラマツと申します。2022年末をもちまして株式会社 講談社を退職することとなりました。2002年に講談社に入社して、週マガ→ライバル→ヤンマガ→コミックDAYS立ち上げ→モーニング…とマンガ編集畑だけを20年にわたり歩んできましたが、2023年1月からはサイバーエージェント社に入社し、CyberZ社の「Studio ZOON」でWEBTOONをがんばろうと思います。》

《最後に。日本のWEBTOONは慢性的なクリエイター不足です。先に「質でも量でも中韓に比べて日本は2歩ほど遅れている」と書きましたが、日本のマンガ界の異常な厚みを考えると全体の5%も参加すれば追いつけると思ってます。》

22/12/20●大田丸、初の年間ベストセラー発表 1位は『80歳の壁』

 大田丸は、このほど、加盟書店11法人・126店舗による年間ランキングを初めて公開した。その「2022年 年間ベストセラー」の「総合」トップ3は、和田秀樹『80歳の壁』(販売部数=1万3309冊、幻冬舎)、永松茂久『人は話し方が9割』(1万0718冊、すばる舎)、厚切りジェイソン『ジェイソン流お金の増やし方』(9897冊、ぴあ)。集計期間は昨年12月1日から今年11月30日まで。

22/12/12●NWのクールジャパンの惨状記事があまりに痛い!

 ニューズウィークのサイトに『クールジャパン機構失敗の考察……日本のアニメも漫画も、何も知らない「官」の傲慢』(古谷経衝)という記事が掲載された。読んで、いちいち納得し、絶望的な気分になった。
 記事は、クールジャパン機構を推進してきた官僚たちが、いかに日本の文化、伝統、そして漫画やアニメなどのコンテンツに無知で、「日本はすごい」と単純に過信してきたために、徹底して失敗したことを糾弾している。
 私はこれまで、このことを何度も記事にし、本にも書いた。マレーシア・クアラルンプールの「ISETAN The Japan Store」に行けば、誰もがそう思うはずだ。なぜ、こんな馬鹿げたストアをつくったのか、本当に気が知れない。

https://www.newsweekjapan.jp/furuya/2022/12/post-32.php

 古谷氏は、記事のなかで、こう書いている。
《私が知る限り日本における政治家のほとんどすべてがそうである。日本のアニメ、漫画は世界中でファンを獲得している、クールジャパンこそが日本における数少ない輸出コンテンツだ、成長戦略の中核である、云々。猫も杓子も政治家はこのようにいう。しかし彼らは、自らが称揚するこういった日本のカルチャーにまったく触れている形跡がない。》
《要するに彼らは、日本人であり日本社会で生きながら、漫画やアニメといったコンテンツ自体に触れていない。》
《要するに彼らはクールジャパン~と言っておきながら、その中核をなすアニメ・漫画を観るのも読むのも億劫だし、ゲームをプレイする意欲もないし、そもそも関心がないのである。》
 これは、以前から私が思っていたこととまったく同じだ。
 つまり、何も知らないのに、単にカネをつぎ込んだだけというのがクールジャパンで、なんとすでに309億円も税金をすってしまったのである。
 最後に古谷氏は、こう書く。
《これを教訓に二度と類似組織を作るべきではなく、アニメも漫画もゲームも、政府は放っておいて二度と介入しないでいただきたい。》 

 まさに、その通りだ。

22/12/03●2022年10月の書籍雑誌推定販売金額は845億円で前年比7.5%減!

 出版科学研究所によると、2022年10月の書籍雑誌推定販売金額は845億円で前年比7.5%減。もはや、毎月、前年比でマイナスを記録するのは日常茶飯事になった。それほど、紙の出版物は市場を失っている。
 雑誌の内訳は月刊誌が296億円で、同10.8%減、週刊誌は64億円で、同4.3%減。返品率は書籍が34.1%、雑誌は43.8%で、月刊誌は43.4%、週刊誌は45.5%と、惨憺たる状況だ。前年比で見ていくと、今年は毎月、マイナス幅が大きくなっている。このままいくと、今年度の書籍雑誌書販売額は、大幅な減は間違いない。

22/12/01●オリコン年間ベストセラー1位は『ジェイソン流お金の増やし方』(ぴあ)

 オリコンは、11月30日、2022年の本の年間ランキングを発表。BOOKランキングの1位は、期間推計48万6588部を売り上げた厚切りジェイソンの『ジェイソン流お金の増やし方』(ぴあ)となった。2位は和田秀樹『80歳の壁』(幻冬舎)、3位は両@リベ大学長『本当の自由を手に入れる お金の大学』(朝日新聞出版)。


 コミックの1位は、芥見下々『呪術廻戦(18)』(集英社)、文庫の1位は原田ひ香『三千円の使いかた』(中央公論新社)。

 オリコンランキングの集計期間は、2021年12月6日~2022年11月20日。調査協力店舗数はネット通販を含む全国書店3979店舗。

22/11/30●朝日新聞約61万部、読売新聞は約47万部の大幅部数減に!

 発表された10月のABCによると、朝日新聞はこの1年間で約61万部の部数減となり、400万部の大台を割り込んで約396万部。読売新聞は約47万部の部数減となり、約657万部となった。
 以下が、いわゆる5大紙の部数。
 こうした部数減がどこかで止まるという見込みはなく、新聞社は紙媒体という立ち位置から、大きく業態を変えていくだろう。

朝日新聞:3,961,962(-609,548)
毎日新聞:1,845,772(-133,140)
読売新聞:6,567,738(-470,330)
日経新聞:1,673,118(-179,936)
産経新聞:990,743(-70,533)

22/11/28●取次大手2社、トーハン日販ともに大幅減収決算

 11月28日、トーハンは2022年度連結中間(2022.4.1~同9.30)決算の概要を発表した。それによると、連結子会社26社の連結売上高は1913億8300万円(前年同期比10・2%減)、営業損失は7億4300万円(前年は11億2600万円の利益)、経常損失は6億4100万円(前年は11億1900万円の利益)、親会社に帰属する中間純損失は9億5700万円(前年は4億7800万円の利益)。「トーハン」と「書店系10社」の売上高が大幅に減収となり、赤字になった。
 トーハン単体では、売上高は1786億7300万円(同10.5%減)で、営業損失は9億6100万円(前年は5億0200万円の利益)、経常損失は5億5000万円(前年は9億5200万円の利益)、中間純損失は6億2000万円(前年は2億7100万円の利益)。
「書籍」「雑誌」「コミック」「マルチメディア」の全4部門で売上げが減少した。
 トーハンに先立つ25日、日販グループホールディングスは、連結子会社36社の連結中間(2022.4.1~同9.30)決算の概要を発表した。売上高は2198億1300万円(前年同期比10.8%減)で、営業損失1億0400万円(前年は16億4500万円の利益)、経常利益は1500万円(前年同期比99.2%減)と大幅に減少した。ただし、親会社株主に帰属する中間純利益は11億7800万円(同19.9%増)と、グループ全体では経常利益を確保した。
 とはいえ、日本出版販売単独では、売上高は1775億4100万円(同11.7%減)で前年から約235億円減少。営業損失は6億2600万円(前年は4億3700万円の利益)、経常損失は4億9400万円(前年は5億3200万円の利益)、中間純損失は5億8400万円(前年は3億4800万円の利益)と赤字決算。
「書籍」「雑誌」「コミックス」「開発品」の全4部門で減収。返品率は「雑誌」が同3.7ポイント改善したが、他の3部門が増加し、総合で同0.4ポイント悪化した。