2022年8月の書籍雑誌推定販売金額は801億円で、前年比1.1%減となった。書籍は423億円で、同2.3%減。雑誌は378億円で、同0.2%増。雑誌の内訳は月刊誌が315億円で、同0.3%増、週刊誌は62億円で、前年同率。返品率は書籍が37.9%、雑誌は41.8%で、月刊誌は41.5%、週刊誌は43.3%。 コロナ禍のなかで、一時的な書籍(とくにコミック)回帰はあったが、それも終わり、紙による出版は長期低迷を続けている。というか、もはや回復はない。
2022年8月の書籍雑誌推定販売金額は801億円で、前年比1.1%減となった。書籍は423億円で、同2.3%減。雑誌は378億円で、同0.2%増。雑誌の内訳は月刊誌が315億円で、同0.3%増、週刊誌は62億円で、前年同率。返品率は書籍が37.9%、雑誌は41.8%で、月刊誌は41.5%、週刊誌は43.3%。 コロナ禍のなかで、一時的な書籍(とくにコミック)回帰はあったが、それも終わり、紙による出版は長期低迷を続けている。というか、もはや回復はない。
9月28日の日経新聞が「 埼玉・所沢の巨大文化施設に暗雲、角川会長逮捕で」という記事を掲載、東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件でKADOKAWA会長の角川歴彦容疑者が逮捕されたことの波紋を伝えている。
角川会長の鶴の一声で、約400億円を投じて誕生した国内最大級のポップカルチャー発信拠点「ところざわサクラタウン」の先行きに暗雲が漂っているというのだ。ここには、複数の展示場やホテルなどを含めた施設があり、所沢市も全面バックアップで街おこしの起爆剤としているが、これまでそれほど賑わっていない。とくに、コロナ禍になってからは、平日は人がまばらだ。
クールジャパンの名の下に、インバウンド効果も狙ったが、完全に空振り。この状況に、今回の角川会長の逮捕劇が悪影響を及ぼすというのである。
記事は、次のように結ばれている。
「同社と所沢市は15年、「クール・ジャパン・フォレスト構想」を掲げ、サクラタウンを核にしたまちづくり計画を発表。アニメや漫画のファンなどを中心に、年間140万~180万人を集客する計画を立てた。日本アニメの海外人気をテコに、多くのインバウンド集客を見込んでいた。
東京駅前にある大型書店「八重洲ブックセンター本店」は9月9日、2023年3月で営業を終了すると発表した。
八重洲ブックセンターは、1978年にゼネコン大手の鹿島による出店で、国内最大の書店としてオープンした。売りは、100万冊の在庫。2016年にはトーハンが株式の過半数近くを鹿島から取得し、トーハンのグループ書店に組み込まれた。しかし、出版不況で業績不振、ここ数年は赤字が続いていた。同店は、2028年度に竣工予定の超高層大規模複合ビルへの入居を計画しているという。
思えば、1970年代半ば〜1980年代半ばは、大型書店の時代だった。1975年に西武ブックセンター、1978年に八重洲ブックセンター、1981年に三省堂書店本店、東京堂書店と次々にオープンした。しかし、いまや西武ブックセンター(リブロ池袋)も、三省堂本店もない。20代、30代のとき、何度も足を運び、1日中、本を探し回ったことも、はるか遠い日の思い出だ。
2021年度の電子書籍市場が、大幅に伸びたことが、インプレスグループのインプレス総合研究所の『電子書籍ビジネス調査報告書2022』で公表された。
それによると、市場規模は5510億円で、前年比14.3%増。内訳は「コミック」が4660億円、「文字もの等」(文芸・実用書・写真集など)が597億円、「雑誌」が253億円となっている。
つまり、電子書籍市場は、コミックが全体の約85%を占める市場で、電子書籍といっても一般書籍は10%程度にすぎない。また、雑誌は4年連続で減少しており、いずれ、市場から消える運命にある。このまま、コミック市場が伸びていけば、2026年度に8000億円を超えると、インプレスでは予測している。
全国出版協会・出版科学研究所が『出版月報』7月号(7月25日発売)でレポートしているところによると、2022年上半期(1~6月)の、紙と電子を合算した出版物の推定販売金額は前年同期比3.5%減の8334億円。紙は5961億円(同7.5%減)、電子出版は2373億円(同8.5%増)で、全体ではマイナスとなった。ただ、出版科学研究所推計の紙の出版物販売額は取次ルートのみで、直販や書店との直接取引は含まれない。
[書籍]
紙の出版物のうち、書籍は3526億円(同4.3%減)。文芸、ビジネス、文庫本、新書、学参など主要ジャンルがいずれも前年割れとなり、これまで好調だった児童書も約3%減少している。
[雑誌]
雑誌は2434億円(同11.8%減)で、月刊誌(コミックス・ムック含む)は2033億円(同12.8%減)、週刊誌は401億円(同6.3%減)。月刊誌のうち、月刊定期誌は約5%減、ムックは約1%減、コミックスは約26%減と大きく減少した。
[コミックス]
コミックスの約26%減という大幅なマイナスは、2020年の『鬼滅の刃』(集英社)、2021年の『呪術廻戦』(集英社)の『東京卍リベンジャーズ』(講談社)などのメガヒットがなかったことによる。ただ、コロナ禍の2年間を差引いてみた2019年比では、約10%増だ。
[電子出版市場]
電子出版市場の伸びは鈍化。内訳では、電子コミックだけが増で2097億円(同10.2%増)、電子書籍(文字ものなど)が230億円(同0.4%減)、電子雑誌が46億円(同13.2%減)。
出版科学研究所は「コロナ禍の巣ごもり需要で増加したユーザー数の伸びが落ち着き、市場は成熟期に入ったと見られます」とコメントしている。
電子コミックは、メガヒット作品こそ少なかったが、「ピッコマ」などマンガアプリの売れ行きが非常に好調で、縦スクロールコミックの伸びも目立ったという。
7月4日、日本漫画家協会は公式ホームページで「現行のインボイス制度導入反対について」と題した声明文を発表した。先に日本SF作家クラブの理事一同も同様な声明を出している。
インボイス制度の導入が決まれば、免税事業者取引も対象としていた仕入税額控除は2023年10月から6年間の経過措置を経て廃止されることになる。そうなると、漫画家、作家、イラストレーター、フリーライターなどは、インボイス(適格請求書)を発行できる課税事業者になるか、免税事業者のままで活動を続けるかどうかの決断を迫られる。
そうなると、免税事業者のままでいる決断をした場合、漫画家や作家たちは、仕入税額控除ができなくなる納品先の企業から、当人の納税者としての立場を理由とした、不当な取引中止を申し渡されるリスクに直面する。
さらに、前々年度の課税売上高が1000万円以下で「免税事業者」に該当する漫画家や作家が「課税事業者」への変更を余儀なくされることや、インボイスを発行できない場合、免税事業者であることを理由に取引を中止される可能性も生じる。
また、インボイス発行事業者は「適格請求書発行事業者公表サイト」に本名が公表されるため、個人情報保護への懸念を抱く漫画家や作家もいる。
日本漫画家協会の声明は、最後に「現行のインボイス制度には反対し、見直しを求めます」と訴えている。
文春ウェブが『文芸市場の半分は「ウェブ発」の書籍が占める時代に…!? 市場縮小が進む文芸界で“ラノベ界隈”が見据える未来とは』という記事を掲載し、飯田一史氏の著書『ウェブ小説30年史 日本の文芸の「半分」』(星海社新書)より一部を抜粋して紹介している。
文芸市場は、ここ10年間で半減し、しかも残ったその半分はウェブ発の小説の書籍化で成り立っている。つまりウェブ小説以外の文芸市場は4分の1になり、文芸市場の半分は「ウェブ発」の書籍が占める時代になったことを、本書は伝えている。
日本出版販売が発表した調査によると、2010年の売上を100としたときの文芸市場の売上は2021年には46.4。市場規模の縮小が恐ろしいスピードで進行していることがわかる。
さらに、進行しているのは、ウェブ発の文芸市場の4割がラノベであるということ。そのラノベ市場も、ピークは2016年で、市場全体としては下降線に入っている。こうしたことから見ていくと、いずれ紙による文芸というジャンルは消滅する可能性が高い。
2022年の東京書店組合加盟数は、2021年の291店から14店減の277店と公表された。現在、東京も含めた日書連加盟書店数は2887店で、この数はここ20年で半減している。日書連加盟書店を含めた全国の書店数は2001年まで2万店以上あった。しかし、現在では8000店ぐらいにまで減ったとされている。
すべてがデジタル化されていく現在にあって、これは仕方のないことである。
書店の売り上げを支えてきたのは雑誌とコミック(漫画)だが、紙の雑誌はもはや時代のライフスタイルに合わなくなり消滅寸前。コミックはほとんどがウェブコンテンツに様変わりしている。
『出版月報』によると、2021年のコミック市場(紙+電子)は前年よりも633億円、10.3%増。紙の雑誌が11%減、紙のコミックスが0.4%増、電子が20.39%増。コミック市場全体の販売額は史上最高額を更新しているが、紙のほうは減少。この減少は年々拡大している。すでに電子は、紙の雑誌すべての売り上げよりも多くなっている。
コミックを扱う電子のレーベルも増加が続き、紙で売れる作品は電子でも売れるという傾向が強まった。
こうしたことから言えるのは、制作側の出版社にとっても、読者にとっても、もはや書店はそれほど価値がなくなったということだ。いずれ、書店はほぼなくなるだろう。
ただし、デジタル化が進んでも、今日まで最大のヒット作は紙の週刊少年誌から出ているということは変わっていない。
2022年5月の書籍雑誌推定販売金額(ABC公表)は、734億円で前年比5.3%減。その内訳は、書籍は407億円で同3.1%減、雑誌は327億円で同7.9%減となっている。
雑誌の内訳は、月刊誌が268億円で同7.4%減、週刊誌は58億円で同10.2%減。返品率は書籍が38.8%、雑誌は45.4%、月刊誌は45.8%、週刊誌は43.2%。
雑誌の返品率が45%を超えたのは、史上初のことと思われる。出版しても半分が返品で破棄するしかないわけで、もはや雑誌はビジネスとして成り立っていない。なお、2022年1月から5月にかけての販売金額累計は6.9%減、書籍は3.4%減、雑誌は11.6%減である。
新聞ほかメディアがいっせいに、クールジャパン機構(正式名「海外需要開拓支援機構」、官民共同出資のファンド)が統廃合されると伝えている。これは、財務省が6月20日、公表した官制ニュース。公表せざるを得ないほど、クールジャパンの実態はひどかったためで、その赤字額は、今年3月末時点309億円に上るという。
20日の財務省の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)財政投融資分科会で、この状況が示されたうえ、統廃合が勧告された。それによると、コロナ禍の長期化で、投資先の一部で売上高が大幅に減少し、計画よりも52億円赤字が拡大した」となっているが、クールジャパンのこれまでの事業を見れば、コロナ禍とは関係なく、ほとんどが単なる日本製品の海外プローモトにすぎず、リターンの見込みがない税金のバラマキにすぎない。
漫画やアニメなどがクールジャパンの目玉の一つだが、この政策によって売れたという話はまったくない。海外へのクールジャパンの進展は、ほとんどが個別企業の努力で、国はまったく役立っていなかった。