22/04/08●朝日新聞のスター記者が“安倍元首相の代理人”として他メディアに圧力で懲戒処分

22/04/08●朝日新聞のスター記者が“安倍元首相の代理人”として他メディアに圧力で懲戒処分

 昨日4月7日、朝日新聞が朝刊で公表した社員記者の懲戒処分が大きな波紋を呼んでいる。なんと、朝日のスター記者として有名な編集委員の峯村健司氏が、安倍晋三・元首相の“代理人”として、「週刊ダイヤモンド」のインタビュー記事のゲラのチェックを要求したというのだ。

 朝日は、ダイヤモンド社側から抗議を受け、峯村氏の行為を「ジャーナリストとしてあるまじき行為」としたのである。

 峯村氏といえば、中国総局員やアメリカ総局員を経験するなど外交・安全保障分野で数々の実績をあげてきた記者で、ボーン・上田記念国際記者賞を受賞している。そんな人物が、なぜ、こんなことをしてしまったのか?

 朝日発表では、「週刊ダイヤモンド」誌が行なった安倍晋三・元首相のインタビュー後に、峯村氏がダイヤモンド担当者に「安倍(元)総理がインタビューの中身を心配されている。私が全ての顧問を引き受けている」「とりあえず、ゲラ(誌面)を見せてください」「私が全ての顧問を引き受けている」「ゴーサインは私が決める」と要求したという。

 峯村氏は、朝日の朝刊記事に対して「note」に「反論文」を公開して釈明している。それによると、安倍晋三・元首相は、核兵器の共有(ニュークリアシェアリング)についての部分に関して、「酷い事実誤認に基づく質問があり、誤報になることを心配している」と峯村氏に告げ、「海外出張するので、ニュークリアシェアリングの部分のファクトチェックをしてもらえるとありがたい」と言ったという。

 なるほど、そういう経緯かとわかったが、そんなことは断るのが当然。そういう仕事は、ご本人か代理人がやるべきで、峯村氏のような記者がやるべきことではない。

 私は、この反論文が、反論文というより、元首相にも目をかけられてきたことを自慢しているように読めた。それにしても、峯村氏は、すでに退社が決まっていて、それまで約2週間を残すだけだったという。よほど、上層部に嫌われていたのだろう。優秀すぎると、ついこういうことをしてしまう。

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