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23/11/11●漫画アプリは韓国「LINEマンガ」と「ピッコマ」が2強状態

『日本経済新聞』(11/10)が「韓国漫画アプリ 日本が主戦場」とのタイトルで、「ネイバーとカカオ首位争い」を報じた。 
 《韓国ネット2強のネイバーとカカオが漫画配信プラットフォームで陣取り合戦を繰り広げている。主戦場は最大市場の日本だ。ネイバー系の「LINEマンガ」とカカオの「ピッコマ」が読者と作家を奪い合う。韓国事業は成長余地が限られ、日本を突破口として世界市場で稼ぐビジネスモデルを模索する。》

 日本における漫画配信アプリ利用動向は、「縦読み」の「LINEマンガ」が首位の33%、「ピッコマ」が2位30%、帝人子会社のインフォコムが手がける「めちゃコミック」が3位の12%となっている。つまり、韓国2社が2強状態である。出版大手、小学館や集英社なども力を入れているが、この2強には大きく遅れをとっている。日本は本当にデジタル後進国で、いくらコンテンツを持っていても、デジタルビジネスでは韓国にかなわない。

23/10/05●電子書籍流通額9月期は2.8%増で、「縦スクロールコミック」が驚異的な伸び

 10月4に、メディアドゥは電子書籍取次事業における9月期の流通額の成長率を発表した。それによると、総合では前年同月比2.8%増となっている。ジャンル別では、「コミック」が同4.7%増、「写真集」が同8.4%増、「書籍」が同13.7%減、「雑誌」が同0.9%減だが、特筆すべきは。「縦スクロールコミック」のが同約20倍を記録したこと。ちなみの前月の8月期も約13倍を記録している。「縦スクロールコミック」の配信は昨年4月期から始まったが、ずっと大成長が続いている。

23/10/04●『日経産業新聞』と『日経ヴェリタス』が廃刊とFACTAがスクープ

 10月3日、「FACTA オンライン」が、スクープとして伝えたところによると、日本経済新聞社が専門紙として発行している『日経産業新聞』と『日経ヴェリタス』を年内にも廃刊するという。
 原因としてとして「FACTA」は、新聞用紙の高騰などによる赤字の拡大と書き手の不足をあげているが、収益の柱である日経本紙の発行部数がピーク時より半減しているうえ、電子版の有料会員数も頭打ちで、日経の経営状況が厳しいことが最大の理由としている。そんななか、中堅社員の大量退職が止まらないという。
 『日経産業新聞』の創刊は1973年、今年10月で50周年を迎える。
 なお、日経からの正式な発表はいまのところない。

23/09/25●8月の出版市場は前年比で二桁マイナス。記録的な「猛暑」の影響か?

 2023年8月の書籍雑誌推定販売金額が公表された。その額は711億円で、なんと前年比11.3%減、二桁マイナスという惨憺たる結果になっている。書籍は378億円で、同10.6%減。雑誌は333億円で、同12.0%減である。
 雑誌の内訳は、月刊誌が277億円で同12.0%減、週刊誌が55億円で同12.0%減。返品率は書籍が40.2%、雑誌が44.4%で、月刊誌は43.7%、週刊誌は47.6%となっている。
 推定販売金額が二桁マイナスを記録したのは、今年の4月の12.8%以来のことだが、年間に2回も二桁マイナス月がでるのはおそらく初めてではないだろうか。
 原因は明確とは言えないが、記録的な「猛暑」が影響したのではないだろうか。
 となると、今年の年間販売金額は、過去最低を記録するのは間違いなく、様々な影響が、今年の後半か来年にかけて顕在化して来るだろう。

23/09/1●光文社は今年も赤字決算。もはや雑誌ビジネスは成り立たず、新社長は親会社から

 光文社の決算が公表された、売上高179億6800万円で、前年比5.5%増だが、昨年に続く赤字決算。経常利益は7億3400万円の赤字(前年は16億3200万円の赤字)で、当期純利益は4億9300万円の赤字(同12億400万円の赤字)である。
 売上高の内訳を見ると、「製品売上」70億8000万円(前年比7.8%減)、「広告収入」45億1200万円(同8.2%減)、「事業収入他」57億7900万円(同26.0%増)、「不動産収入」5億9900万円となっている。
 結局、増収は「製品売上」以外の3部門によるものであり、それ以外は不振。とくに「製品売上」のなかでも「雑誌」が43億8100万円と、前年比12.2%減と大きく落ち込んでいる。そのため、広告収入も8.2%減を記録。雑誌返品率も47.6%と、ほぼ半数が返ってくるというひどさである。
 経営としていつまでも紙の雑誌にこだわり、「女性誌の光文社」を維持しようとしたことが間違いだったと言えるだろう。デジタル事業など、新しいことに挑戦しようという気概もなく、人材も養成しなかった。
 この惨状を立て直すべく、新社長に、親会社の講談社の子会社である第一通信社社長の巴一寿(ともえかずひさ、59歳)氏が就任することになった。
 ちなみに、出版不況が言われるなか、大手3社は、ともに好決算となっている。その要因は、「漫画」「権利(版権)ビジネス」「デジタル出版」「不動産」の4本柱にある。もはや、純粋な紙出版、書籍や雑誌発行だけで出版社をやっていくなどということはできないと言っていい。

23/08/05●出版市場の崩壊が加速。今後も書店の閉店ラッシュは続く

 紙の出版市場は、いよいよ本格的な崩壊過程に入ったようだ。紙の出版物の売り上げは毎年、前年比で5~10%減少してきたが、今年は10パーセント以上の減少も考えられる状況になっている。
 なにしろ、書店の数が激減している。
 『出版指標年報2023』によると、2023年3月28日時点の書店総店舗数は1万1149店(前年比457店減)だが、このうち坪あり店舗数は8478店(同328店減)に過ぎないのだ。つまり、いまや、全国のリアル書店数は1万店を割り込んでいて、これはピーク時の1960年の2万6000店の3分の1ということ。
 しかも、今後も閉店数は増え続ける。この6月の書店閉店数は62店で、大型店ではTSUTAYAの7店、西友の9店が目立つ。
 いまや、大型店、スーパーやショッピングモール内の書店も存続できない状況になっている。そんなか、書協の会員社の近刊情報誌『これから出る本』(月2回刊)は、12月下期号で休刊(廃刊)することをすでに決めている。

休刊で40年の歴史に幕

 それでも、なんとか書店を続けようと、日販は商業施設などの空間づくりを行う㈱丹青社と連携し、東京メトロ溜池山王駅(東京・千代田区)に無人書店「ほんたす ためいけ 溜池山王メトロピア店」をオープンする。これは、果たして書店というビジネス形態が持続可能かどうかの実証実験である。「日常に本の楽しみを! フラっと、サクっと旬を手に」をコンセプトに、街ごとの顧客にとっての旬のテーマに特化した品揃えで商品展開するというが、果たしてどうなるのか?

23/07/26●2023年上半期の出版市場規模は前年同期比3.7%減の8024億円

 出版科学研究所は7月25日発売の『季刊 出版指標』2023年夏号で、2023年上半期(1〜6月)の出版市場規模を発表。それによると、紙と電子を合算した推定販売金額は8024億円(前年同期比3.7%減)、紙の出版物は5482億円(同8.0%減)、電子出版物は2542億円(同7.1%増)となった。
 紙の出版物の内訳は、書籍が3284億円(同6.9%減)、雑誌が2197億円(同9.7%減)。雑誌は、月刊誌(ムック、コミックス含む)が1839億円(同9.6%減)、週刊誌が358億円(同10.6%減)。月刊誌の内訳は、定期誌が約8%減、ムックが約9%減、コミックスが約12%減。
 電子出版物の内訳は、電子コミックが2271億円(同8.3%増)、電子書籍が229億円(同0.4%減)、電子雑誌が42億円(同8.7%減)。

23/07/14●「もう百科事典はつくれない」という記事に納得

 7月12日の朝日新聞デジタルに『「もう百科事典はつくれない」元編集者が考えるネット社会の未来』という記事がアップされた。平凡社で、事典編集に長年携わった斎藤文雄氏(77)のインタビュー記事だ。
 平凡社の『世界大百科事典』の最新版が最後に刊行されたのが2007年。すでに平凡社では百科事典の編集部すらないという。
 百科事典が出せなくなった理由はじつにシンプル。作っても売れないからだ。
 以下、斎藤氏の話。

《世界大百科事典の項目数は約9万に上り、筆者は7千人にもなります。何と言っても信頼性が大事ですから、筆者はいずれも各界の第一人者や学界の新進気鋭の学者らを選びます。原稿料だけでも膨大です。こうした先行投資を売り上げで回収するわけですが、出版物で回収するのは今や不可能です。電子版もあるとはいえ、ネット展開でそこまで稼げない。最大手の出版社でも、紙の百科事典はもう出せないと思います。》

《百科事典が売れてビジネスモデルとして成立していた高度経済成長期が、むしろ例外的だったと言った方がよいかもしれません。
 居間にズラリと並ぶ百科事典が、一種のステータスだった時代ですね。ほとんど「家具」ですよ。飾って置いておくモノとなってしまったことで、百科事典を「空洞化」させてしまった側面もあるのでしょう。》
《長いこと使っていないという人は、多いでしょう。「家にある百科事典を引き取ってほしい。図書館も古本屋も相手にしてくれない」という問い合わせも、時々あるくらいです。》
https://www.asahi.com/articles/ASR79628JR76UTIL02C.html

2023年7月7日『地球温暖化敗戦 日本経済の絶望未来』(山田順・著、ベストブック)が発売されました

山田順の新著『地球温暖化敗戦 日本経済の絶望未来』(ベストブック、1,760円)が発売されました。

 地球温暖化に関してはいまだに科学論争が続き、日本ではなぜか「温暖化陰謀論」「温暖化懐疑論」が盛んです。しかし、もはやそんなことを言っている場合ではなく、温暖化は最大の経済問題になりました。したがって、これに積極的に対処しなければ国は衰退する一方になります。残念ながら、日本の温暖化対策は、世界から周回遅れ、いや2周は遅れています。いまのままでは、EVに乗り遅れたトヨタをはじめ、多くの日本企業は行き詰まるでしょう。
 本書は、今年になって書き始め、約3カ月でまとめました。これまでの世界の動き、日本の動きを網羅し、どうすべきかを警告しています。すでに、「気候移住」は始まり、不動産市場にも影響が出ています。
 以前の私は「温暖化懐疑論」者でしたが、近年の気候変動の激しさを見て、考えを大きく変えました。
 以下、長いですが、「はじめに」を転載します。(著者より)

■「はじめに」全文公開

「このままでは本当にまずい」
 新型コロナのパンデミックの最中から、そういう声を各方面で聞くようになった。なにがまずいのかと言えば、日本の地球温暖化対策が世界から“周回遅れ”“方向違い”になっていることだ。
「周回遅れならまだいい。2周も3周も遅れているうえ、対策の方向が間違っている」と言う専門家もいる。

 こう言われると、「そんなことはない。遅ればせながら菅前首相は2020年秋に“2050年カーボンニュートラル”を宣言し、日本はそれに向かって世界と歩調を合わせていくことになったではないか」という反論が聞こえてくる。

 しかし、ここではっきり書いておきたいが、「カーボンニュートラル」(carbon neutral)はほぼ口先だけの話。日本の現状から見て、実現の可能性は極めて薄い。具体的な計画もロードマップもあいまいだからだ。その後、菅前首相は「温室効果ガス」(GHG:Greenhouse Gas、グリーンハウスガス)を2013年度比で46%削減するという目標を設定したが、これは世界の主要国と比べると明らかに低い。

 思い出されるのは、2009年9月、当時の鳩山由紀夫首相が、ニューヨークでの国連本部で開かれた「気候変動サミット」で行ったスピーチだ。

「IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:国連気候変動に関する政府間パネル)における議論を踏まえ、先進国は、率先して排出削減に努める必要があると考えています。わが国も長期の削減目標を定めることに積極的にコミットしていくべきであると考えています。また、中期目標についても、温暖化を止めるために科学が要請する水準に基づくものとして、1990年比で言えば 2020年までに25%削減を目指します」

 この宣言に、「やはり日本だ」という声も上がったが、その結果は書くまでもない。2011年に東日本大震災に見舞われるという不幸もあったが、対策は遅々として進まず、政権が交代すると“鳩山宣言”はあっさりと撤回された。

 2013年1月、就任間もないは安倍晋三首相(当時)が、25%削減目標に関してゼロベースでの見直しを指示したのである。安倍元首相が、地球温暖化に関心が薄かったのはよく知られている。

 安倍政権の約9年間で、日本の地球温暖化対策はほとんど進まなかった。その進まない針を菅元首相が進めたのが

「2050年カーボンニュートラル宣言」だった。

 「カーボンニュートラル」とは、ひと言で言えば、地球温暖化の原因とされるGHG(温室効果ガス)の主成分である「二酸化炭素」(CO2)の排出量と吸収量・除去量をニュートラル(均衡)=プラスマイナスゼロにすること。地球上に人間が排出したCO2を植物などがすべて吸収すれば、これが実現する。

 現在、CO2は、炭素(carbon:カーボン)を含む化石燃料を燃焼したときや、人間や動物が呼吸をしたときに排出され、それが植物などの吸収量を大きく上回っている。

 ちなみに、カーボンニュートラルが実現した社会を「脱炭素社会」(decarbonized society:ディカーボナイズド・ソシエティ)と呼んでいる。

 現在、世界で行われているカーボンニュートラル政策は、IPCCによる調査研究の結果がベースになっている。IPCCは、地球の気温上昇を1.5℃以内に抑える条件として「2050年ごろまでにカーボンニュートラルを実現させる必要がある」と提唱した。これを受けて、世界の145の国と地域(中国は2060年)がカーボンニュートラルを表明した。

 菅政権から地球温暖化対策を引き継いだ岸田文雄政権は、GX(Green Transformation:グリーントランスフォーメーション)の積極導入を打ち出し、「GX実行会議」を創設した。GXとは、太陽光や風力・水力・などの「再生可能エネルギー」(green energy:グリーンエナジー、「再エネ」と略)への転換を通して産業構造を変革し、脱炭素社会の実現と経済成長の両立を図る取り組みのこと。岸田首相は、GX実行会議の創設とともに、脱炭素へ向けて10年間で150兆円超を支出することを表明した。

 しかし、GX実行会議での議論を基につくられた「GX推進法案」が2023年4月に国会で成立したが、その中身たるやお寒いかぎりである。まず法案自体が、原子力発電所の「60年超」運転を可能にする5つの関連法の改正案を一本化した「束ね法案」に過ぎなかったこと。次に、再エネを主力電源としながらも、脱炭素の定義がないため、再エネ化の道筋が見えないこと。さらに、当初必要とされる20兆円の財源を「GX経済移行債」という国債でまかなうことなど、これで脱炭素化が本当にできるのかという中身なのだ。

 結局、はっきりしたのは、原発の再稼働・新設と運転延長だけである。ウクライナ戦争によってエネルギー事情が逼迫するなか、GXという言葉を隠れ蓑にして、再エネ化を原発頼りにしてしまったという印象しか持ちえない。

 現在、脱炭素に向けての最大の課題は、世界各国で主流となっている「カーボンプライシング」(carbon pricing)の導入である。「GX推進法案」では、カーボンプライシングの導入が決まったが、その本格稼働は2030年代と、欧米や中国と比べると明らかに遅い。また、いまもなお稼働中の石炭火力をどう削減するかという大問題もある。

 岸田首相は安倍元首相と同じく、地球温暖化問題には関心が薄い。そうでなければ、GX担当相に、統一教会問題で火だるまになった萩生田光一経済産業相を兼務とはいえ起用しないだろう。彼は原発推進派の1人で、これまで環境対策に積極的な発言をしたことはほとんどない。

そればかりか、統一教会問題でウソを連発して辞任に追い込まれた山際大志郎氏を、経済財政政策担当大臣に起用していた。山際氏は温暖化懐疑論者であり、これまで炭素税導入に明確に反対を表明してきた人物の1人だ。

 このように地球温暖化無関心政権が続いてきたせいか、日本企業はおしなべてカーボンニュートラルに周回遅れになっている。いまや最後に残った日本の主力産業の自動車産業は、いまだにガソリン車が収益の柱である。

 時価総額や1台当たりの利益率などで、EV(Electric Vehicle:電気自動車)1本足打法のテスラに抜かれたトヨタは、2022年後半から慌ててEVシフトを強めた。そうして、2023年4月から豊田章男氏に代わって佐藤恒治氏が社長に就任した。しかし、佐藤社長は、EVに注力するも基本的に「マルチパスウエー」(全方位戦略)で行くことを表明している。

 これでは、近い将来クルマがEVに1本化されたとき、トヨタが傾くのは確実だ。「このままではトヨタは間に合わないのではないか」という声も聞こえてくる。トヨタは環境団体から、自動車メーカーの脱炭素ランキングでワースト1に認定されている。

 たとえば、アップルはすでに自社の世界のすべての施設で再エネ100%を達成済みだ。そして、現在、2030年までに自社のすべてのサプライチェーンでのカーボンゼロを目指している。

 地球温暖化と言えば、日本人が思い出すのは1997年の「京都議定書」(Kyoto Protocol)だろう。あの当時は、日本はまだ「環境先進国」だった。しかし、いまは間違いなく「環境後進国」である。

 また、再生可能エネルギーと言えば、なんと言っても太陽光発電であり、1990年代は日本が世界の太陽光発電をリードしていた。太陽光パネルのシェアは世界一だった。しかしいまや太陽光パネルのシェアの85%は中国に持っていかれた。

 地球温暖化はウソだという懐疑論、陰謀論がある。日本ではなぜかこうした見方が根強い。なにしろ、あのトランプ前大統領は、「それはでっち上げだ」(It’s a hoax.)、「中国が自らのためにアメリカの産業の競争力をなくそうとつくったコンセプトだ」(The concept of global warning was created by and for Chinese in order to make U.S. manufacturing non-competitive.)と言ったのだから、無理もない。

 実際、トランプ前政権は「パリ協定」(Paris Agreement)から離脱した。

 じつは私も、当初は地球温暖化を疑っていた。「温暖化ではなく寒冷化している」「寒冷期と温暖化が繰り返すサイクルに過ぎない」ということのほうが真実ではないかと思っていた時期もある。

 しかし、IPCCの報告と懐疑論を読み比べつつ、近年の気候変動の猛威を見て考えを改めた。もはや、科学をもって論争しても無意味と思うようになった。IPCCが言うような人為的な温暖化が事実であろうとなかろうと、この問題はすでに科学論争を超えて経済問題、社会問題になっている。

 たしかにいま、世界各国はこの問題に対して温度差がある。しかし、もう方向は決まってしまっている。地球温暖化を防ぎ人類の生き残りを図る。そうしながら経済を回していく。この方向に世界は動いている。

 つまり、すでにバスは発車しているのである。

 ならば、日本のように乗り遅れているとどうなるかは、言うまでもないと思う。

 本書は、地球温暖化を科学的に捉えて論じるものではない。なにしろ、私にはそんな知見がないし、その能力もない。よって、この問題を経済、社会の面から捉え、私たちはどうすべきかを考えていく。このままでは、日本はさらに環境後進国になってしまう。脱炭素競争から脱落すれば、多くの日本企業は凋落し、私たちの暮らしはよりいっそう厳しいものになってしまうだろう。

23/07/02●「町の本屋さんを元気にして日本の文化を守る議員連盟」とういう時代錯誤集団

「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」(通称:書店議連。会長・塩谷立元文科相)という議員連盟がある。なんと、参加議員は145人で、消えゆく街の書店を維持し、継続していくために課題を調査し、政策提言を行っていこうというもので、この5月に初の政策提言書を取りまとめた。
 この政策提言が骨太の方針にも「書店のDX化推進」などとして盛り込まれたというので、改めて読んでみたが、その時代錯誤ぶり、認識不足ぶりに驚いた。
 なにが驚きかというと、「街の本屋」は「ネット書店」よりも「未知の本との出会い」の可能性をより大きく秘めている」として、「書店がなくなることは、日本の文化の劣化に繋がることを意味する」としていることだ。
 すでに、全国1741市区町村のうち、「街の本屋さん」がまったくない自治体は456自治体(26.2%)になっているのに、いまさらこんなことを言っているのだ。

書店議連会合©️文化通信

 デジタルネイティブのZ世代は、すでに「街の本屋さん」を必要としなくなっている。必要としなくなっているものは、今後、どんどんなくなっていくのは仕方ないだろう。それが、文化の劣化に繋がるなんてことはありえない。
 おそらく、ここに参加した議員たちは、街の本屋さんに行ったこともなければ、まともに本を読んだこともないだろう。まして、Z世代のことなどまったくわからないだろう。
 そういえば、「プレジデントオンライン」が消えゆく書店の実状記事を出していた。参考になるので、以下、URLをコピペしておく。
『大手出版社は絶好調なのだが…日本全国で「書店がひとつもない街」が増えているアマゾン以外の要因』(プレジデントオンライン 2023/06/06)
https://president.jp/articles/-/70292?page=1