全国出版協会・出版科学研究所が『出版月報』7月号(7月25日発売)でレポートしているところによると、2022年上半期(1~6月)の、紙と電子を合算した出版物の推定販売金額は前年同期比3.5%減の8334億円。紙は5961億円(同7.5%減)、電子出版は2373億円(同8.5%増)で、全体ではマイナスとなった。ただ、出版科学研究所推計の紙の出版物販売額は取次ルートのみで、直販や書店との直接取引は含まれない。
[書籍]
紙の出版物のうち、書籍は3526億円(同4.3%減)。文芸、ビジネス、文庫本、新書、学参など主要ジャンルがいずれも前年割れとなり、これまで好調だった児童書も約3%減少している。
[雑誌]
雑誌は2434億円(同11.8%減)で、月刊誌(コミックス・ムック含む)は2033億円(同12.8%減)、週刊誌は401億円(同6.3%減)。月刊誌のうち、月刊定期誌は約5%減、ムックは約1%減、コミックスは約26%減と大きく減少した。
[コミックス]
コミックスの約26%減という大幅なマイナスは、2020年の『鬼滅の刃』(集英社)、2021年の『呪術廻戦』(集英社)の『東京卍リベンジャーズ』(講談社)などのメガヒットがなかったことによる。ただ、コロナ禍の2年間を差引いてみた2019年比では、約10%増だ。
[電子出版市場]
電子出版市場の伸びは鈍化。内訳では、電子コミックだけが増で2097億円(同10.2%増)、電子書籍(文字ものなど)が230億円(同0.4%減)、電子雑誌が46億円(同13.2%減)。
出版科学研究所は「コロナ禍の巣ごもり需要で増加したユーザー数の伸びが落ち着き、市場は成熟期に入ったと見られます」とコメントしている。
電子コミックは、メガヒット作品こそ少なかったが、「ピッコマ」などマンガアプリの売れ行きが非常に好調で、縦スクロールコミックの伸びも目立ったという。