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21/11/24●取次大手2社「トーハン」「日販」の決算、増収に

 11月24日、トーハンは、連結中間決算(2021.4.1~同9.30)の概要を発表した。それによると、売上高は2130億4100万円(前年同期比9.6%増)、営業利益は11億2600万円(同43.7%減)、経常利益は11億1900万円(同2.1%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は4億7800万円(同52.8%減)で、増収減益となった。5月に帳合書店となった丸善ジュンク堂書店が売上げを押し上げたほか、人件費を含む一般管理費の削減、出版社からの運賃協力金の増加などが、増収に貢献した。

 一方、同日発表された日販グループホールディンス子会社35社の連結中間決算の概要は、売上高2463億9900万円(前年比1.5%増)、営業利益16億4500万円(同17.4%増)、経常利益19億6900万円(同32.6%増)、親会社株主に帰属する中間純利益9億8200万円(同236.1%増)で、8事業のうち6事業で増収。なかでも、日販が単体で黒字転換したことで大幅な増益となった。

 取次大手の決算が好調に推移した背景には、コロナ禍による「巣ごもり需要」がある。

21/11/07●女性誌『Mart』、来年から月刊誌から季刊誌に

 もはや女性誌は、その役割を終えたと言っていい、このほど、光文社は月刊の女性誌『Mart』を2022年2月号(12月25日発売)をもって終了すると発表した。ただ、刊行は続け、来年からは季刊誌に変更するという。『Mart』は、2004年10月に創刊。
 女性ファッション誌というより主婦のライフスタイル誌として、主に、食、インテリア、アート、旅などをテーマに、「ランチ会」や「食べるラー油」など注目のキーワード、商品を紹介してきた。しかし、こうした情報はほぼウエブに移行し、情報交換もSNSに移行したため、近年は部数減、広告出稿減が続いてきた。

21/11/05●年末の風物詩「流行語大賞」、ノミネート語30が発表される

 このほど、年末の恒例の『現代用語の基礎知識』(自由国民社)が選ぶ「2021ユーキャン新語・流行語大賞」のノミネート語30点が発表された。選考委員は、同書の大塚陽子編集長ほか、金田一秀穂氏(杏林大学教授)、姜尚中氏(東京大学名誉教授)など7人。
 同大賞事務局では、今年の傾向について、「長引くコロナ禍で、コミュニケーションが希薄になり、軽い言葉やあたたかみのない言葉が生まれてきている」とコメント。しかし、このなかに国民の話題を独占した「眞子さん・小室圭氏」に関する、「誹謗中傷」「元婚約者」「PTSD」などのワードがなかった。
 ノミネート語トップ10は次の通り。
1「イカゲーム」、2「うっせぇわ」、3、「ウマ娘」、4「SDGs」、5「NFT」、6「エペジーーン」、7「推し活」、8「親ガチャ」、9「カエル愛」、10「ゴン攻め/ビッタビタ」。

21/11/01●巣ごもり需要消滅で、9月の出版販売額、4カ月連続減

 出版科学研究所によると、2021年9月の書籍雑誌推定販売金額は1102億円で、前年比6.9%減だった。その内訳は、書籍は659億円(同3.8%減)、雑誌は442億円(同11.1%減)。雑誌の内訳は、月刊誌が372億円(同12.1%減)、週刊誌が70億円(同5.6%減)となっている。

 返品率は書籍が31.6%、雑誌は41.2%で、月刊誌は40.6%、週刊誌は44.0%。
 この6月から、前年比マイナスが4ヵ月にわたって続いている。昨年から続いてきた、コロナ禍による「巣ごもり需要」は、どうやら終焉を迎えたようだ。このまま第6波が来ないとしたら、この年末の状況がどうなるか気になる。

出版科学研究所による21年1月から9月にかけての出版物販売金額の推移©出版・読書メモランダム

21/10/20●アマゾンジャパン、紙のセルフパブリッシングサービスを開始

 アマゾンジャパンは10月19日から、個人で出版できるサービス「Kindle ダイレクト・パブリッシング(KDP)」を開始した。KDPは、これまで電子書籍のみが対象だったが、今回からはプリント版も発行できる。

 KDPのプリント版出版は、注文によるオンデマンド出版なので、製本などの初期費用は不要。販売価格は著者自身で設定でき、売上げの60%が著者に支払われる。KDPで製作した書籍は、国内だけでなく、英国、オーストラリア、カナダ、米国、ヨーロッパのAmazonでも購入できる。

https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP

21/10/12●『糖質オフ大全科』(主婦の友社)が中国でベストセラーに!

 『糖質オフ大全科』(主婦の友社)の中国語版『減糖生活』が実売で79万部(19刷)に到達。11月中に発行ベースで100万部になるという。

 『糖質オフ大全科』は2019年4月発売で、重版を重ね4万7500部(9刷)になった昨年9月、国際的な著作権仲介サービスを行うフォルトゥーナの仲介で北京快読文化傳媒有限公司が中国内で出版。価格は58元(約1000円)だったが、売れ行き好調でベストセラーとなった。この背景には、中国の糖尿病患者数の激増があるとされる。中国は2025年までに糖尿病患者が3億人に達し、世界最多になる見込みだ。

21/09/30●『鬼滅の刃』ブーム終焉、8月の出版販売額は前年同期比3.5%減

 2021年8月の書籍雑誌推定販売金額は811億円で、前年同月比3.5%減。書籍は433億円で、同0.1%減。雑誌は377億円で、同7.2%減。雑誌の内訳は月刊誌が314億円で、同6.1%減、週刊誌は62億円で、同12.2%減。返品率は書籍が37.4%、雑誌は43.6%で、月刊誌は43.6%、週刊誌は43.7%。

 以上、コロナ禍もあってすべてがマイナス。出版業界のシュリンクが続いている。巣篭もり需要で、一時、好調だった文庫、新書、コミックも売上を落としている。とくにコミックは、『鬼滅の刃』ブームが去った感がある。

21/09/23●毎日新聞が遂に200万部割れ!もはや全国紙と呼べない

「FACTA」10月号記事で、毎日新聞が200万部割れをしたことを知った。日本ABC協会の調べによると、毎日新聞の7月の販売部数は199万9439部で、前月に比べ3000部余り、前年同月に比べ11万8000部余りの減少となった。8月も199万3419部と前月比6000部余り、前年同月比では10万4千部余りのマイナスだった。

 FACTA記事は、《100万部台に落ち込んだ記録は戦後にはなく、おそらく戦前または戦中以来のことだ。複数の新聞販売関係者の話を総合すると、読者に配達されないまま廃棄される「押し紙」の分を差し引いた実売部数は100万~140万部程度とみられる。》と書いている。

 もはや、「3大紙」という言葉は死語だ。

21/09/19●Google、新サービス「ニュースショーケース」 が日本でも開始

 グーグルは9月16日から、報道機関のニュース記事を集めて配信する新サービス「ニュースショーケース」を日本でも開始した。読売・朝日・毎日・産経・日経・共同・時事ほか、地方紙も多く参加し、参加社は40社以上。

 グーグルはこのサービスを2020年10月からドイツやブラジル、英国、インドなど始めているので、日本は開始が遅い方。これまで、グーグルでは、記事そのものでなく、見出しや抜粋が流れることが多く「記事にただ乗りしている」という批判があった。が、仕組みを整えて使用料を支払うことで、批判は少しずつ解消されてきた。

 ただし、使用料の決め方は、明らかにされていない。報道機関の視聴者数、有料記事の配信数、ブランド力などが考慮されていると言われるが、どの程度なのかは気になるところだ。

 いずれにせよ、「ニュースショーケース」は各社のサイトへ誘導する仕組みなので、全文転載が前提となる「Yahoo!ニュース」や「Smartnews」より、仕組み的には報道機関にとってはいい仕組みと言える。

21/09/16●講談社とアマゾンが取次抜きで直接取引を開始

 今日、朝日新聞が『講談社とアマゾン、直接取引を開始へ「異例の事態」に衝撃広がる』という記事を出した。これは、講談社が今月から、日販、トーハンなどの取次を経由しない「直接取引」を始めたことを伝えたもの。講談社はとりあえず、3シリーズ「講談社現代新書」「ブルーバックス」「講談社学術文庫」の既刊本をアマゾンに直接卸し、その後、効果を見極めた上で他の書籍や新刊本への拡大を検討していくという。

 これで、書籍流通の流れが効率化され、消費者にとってはいいことずくめだが、朝日記事は業界の衝撃は大きいと、次のように書いている。

《ただ、業界をリードする講談社が直接取引に加わったことに、「異例の事態で衝撃は大きい」(取次会社幹部)と波紋が広がる。》  

 しかし、衝撃なのは、中小出版社にすぎないだろう。取次があることで本を出せていたところもあるからだ。ただ、デジタル時代の流れには逆らえない。すでにKADOKAWAなどもやっているので、衝撃でもなんでもない。新聞はあおりすぎではないだろうか。