海竜社(資本金1500万円、東京・中央区、下村のぶ子代表)は9月14日、東京地裁に自己破産を申請した。同社は1976年に設立され、佐藤愛子や曽野綾子などのエッセイを始めとして、実用書や自己啓発書など、これまで約1600点の書籍を刊行してきた。ピーク時は2013年で売上高8億1000万円を計上していたが、今期は1億6000万円までに落ちこんでいた。 負債は2億2000万円。
海竜社(資本金1500万円、東京・中央区、下村のぶ子代表)は9月14日、東京地裁に自己破産を申請した。同社は1976年に設立され、佐藤愛子や曽野綾子などのエッセイを始めとして、実用書や自己啓発書など、これまで約1600点の書籍を刊行してきた。ピーク時は2013年で売上高8億1000万円を計上していたが、今期は1億6000万円までに落ちこんでいた。 負債は2億2000万円。
習近平主席が8月に「共同富裕」を掲げて以来、中国では、文化大革命の再来とも言える社会改革が起こっている。有名スターが脱税容疑などで次々に粛清され、エンタメ、芸能、文化に対する締め付けが強化されるようになった。
その一環として、今度は、中国共産党の中央宣伝部がオンラインゲームの運営会社に対して「ボーイズラブ」などを「不良文化」と名指しし、断固排除するよう求めた。当局は、芸能界に求めた「女性っぽい男性」の追放を、ゲーム業界にも求めたのである。
中国ではオンラインゲームとマンガやアニメとのコラボは頻繁に行われているので、この規制はマンガ、アニメにも及ぶのは確実。
光文社は、8月24日、第77期(20.6.1~21.5.31)決算と役員人事を決定。それによると、総売上高は168億5100万円(前年比8.8%減)で、経常損失は7億1600万円(前年は13億9900万円の損失)、当期純損失は8億0700万円(前年は24億0200万円の損失)の赤字決算となった。赤字決算は2期連続。総売上高の内訳を見ると、「販売収入」84億5100万円(同4.6%減)、「広告収入」36億1200万円(同36.6%減)、「その他」41億9900万円(同25.6%増)、「不動産収入」5億8900万円(同1.4%増)で、広告収入の大幅な減収が目立つ。これは、看板の女性誌の販売低迷にともなうもので、もはや、紙の雑誌はビジネスモデルとしては成立しなくなっていると言っていいだろう。
集英社は、8月24日、株主総会および取締役会を行い、第80期(2020年6月1~2021年5月31日)の決算を確定・公表した。
売上高は、2000億円を超え、2010億1400万円で前年比31.5%増。その内訳は、「雑誌」が817億0100万円(同27.9%増)、「書籍」が178億円(同72.4%増)、「広告」が78億7300万円(同18.1%減)、「事業収入」が936億3900万円(同35.6%増)で、当期純利益は457億1800万円(同118.3%増)。こ純利益は、前年の約209億円から2倍以上となる大幅増益となり、過去最高となった。
ここで特筆すべきは、「事業収入」のうち、「デジタル」分野が449億0900万円(同42.5%増)と、約半分を占めていることだ。つまり、デジタル部門が稼ぎ頭になっていることがわかる。実際、デジタル部門は、ここ数年、以下のように倍々ゲームで、デジタルコンテンツは分岐点を超えると飛躍的に利益率が高くなるという特徴を表していると言えるだろう。
2018年5月期: 25億2600万円
2019年5月期: 98億7700万円
2020年5月期:209億4000万円
2021年5月期:457億1800万円
今朝の朝日新聞が「週刊文春、中づり広告を終了へ 一つの文化だった」という記事を出した。「週刊文春」が8月26日発売号を最後に電車の中づり広告を終了するというのだ。電車内中づり広告は売上増に結びつくツールだったが、デジタル時代とともに効力がなり、コストに見合わなくなっていた。すでに、一部の月刊誌は廃止している。
朝日記事は、次のように書いている。
《同誌の加藤晃彦編集長は「中づりは雑誌の象徴というべき『ブランド広告』でもあり、一つの文化だった」と話す。
地下鉄・東京メトロの広告会社・メトロアドエージェンシーの営業担当者によると、「雑誌の中づり広告は近年減っている」という。同誌の撤退で、減少傾向に拍車がかかる可能性がある。
中づりは、通勤時に興味を持った会社員らが駅の売店で雑誌を購入するという「すぐれたビジネスモデル」(加藤氏)だった。》
中づりは、校了が本誌の1折り(最終紙面)校了より1日早い。そのため、ギリギリのスクープだと差し替えがきかない。この点も、ニュース鮮度が生命線のデジタル時代には、そぐわない。
「週刊文春」は、現在、中づり広告を東京メトロの丸ノ内線、日比谷線など5路線で計1700枚、大阪メトロで計約1500枚掲示している。メトロアドエージェンシーによると、5路線で2~3日間掲示の正規料金は、128万6000円。割引などがあるため、実際の額は不明だが、年間で数千万円以上のコストカット効果がるという。
株式会社インプレスは、「電子書籍ビジネス調査報告書2021」を発行した。これによると、2020年度における電子書籍の市場規模は4821億円で、2019年度の3750億円から、なんと28.6%、額にして1071億円の大幅増となった。 電子書籍の市場規模はここ数年、年間500億円程度のペースで増加していたが、2020年度はその2倍の伸びになったことになる。
インプレスでは、この急増の原因を「新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う外出自粛による巣ごもり消費や、社会現象ともなった大ヒット作品の影響が大きい」としているが、確かにそう言えるだろう。コロナ禍 がプラスになったたわけだ。じつは、これは紙でも同じ。
ただし、電子書籍市場といってもそのうちの83.0%をコミック占めている。コミックの2020年度の市場規模は、なんと4002億円で、2019年度の2989億円から1013億円も増加している。電子書籍市場全体で年間1071億円の増加のため、2020年度における電子書籍市場の成長はほとんどがコミックということになる。
KADOKAWAは、第1四半期(21年4月1~6月30日)連結決算を発表した。それによると、売上高は520億3400万円(前年同期比10.7%増)で、営業利益は58億6900万円(同63.9%増)。この営業利益は、コロナ禍にもかかわらず、過去最高となった。なお、経常利益は61億44000万円(同59.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は40億2300万円(同63.9%増)。
出版事業は売上高321億2900万円(同9.8%増)、営業利益53億8700万円(同151.3%増)。紙の書籍では児童書とコミックス、電子書籍では女性向け異世界ジャンルのコミックスが好調だった。
2021年上半期(1~6月期)の紙と電子を合わせた推定販売金額が、前年同期比8.6%増の8632億円となったことが、全国出版協会・出版科学研究所から、『出版月報』7月号(7月26日発売)で発表された。
紙の出版物の推定販売金額は、6445億円で前年同期比4.2%増となり、コロナ禍がプラスに影響したのは、皮肉としか思えない。内訳を見ると、「書籍」3686億円(同4.8%増)、「雑誌」2759億円(同3.5%増)と、どちらもプラスとなっている。
雑誌の内訳は、月刊誌(コミックス・ムック含む)が2331億円(同5.7%増)で、週刊誌は428億円(同7.2%減)と大きく落ち込んでいる。
一方、電子のほうは大きく増加している。推定販売金額は2187億円で、前年同期比でなんと24.1%増。その内訳は、「電子コミック」1903億円(同25.9%増)、「電子書籍」231億円(同20.9%増)、「電子雑誌」53億円(同11.7%減)となっている。
日本経済新聞に「消えた出版社の本はどこへ 著作権引き継ぎの課題とは」という記事が出た。ここでの問題は著作権、出版権の引き継ぎだが、「本を生き延びさせるために奔走している人たちがいる」ことを、まずこの記事は紹介している。その一つが今年1月に倒産した仏教書の出版社、サンガ。同社はスティーブ・ジョブズが愛読した『禅マインド ビギナーズ・マインド』(鈴木俊隆著)などのロングセラーを持っているが、こうした書籍が消えてしまうのを防ごうと、元社員がクラウドファンディングで1400万円超の資金を集め、新社の設立に向けた準備を進めているという。
また、昨年6月に廃業した神学や歴史学の人文書を出していた創文社は、オンデマンド出版での出版を講談社に引き受けてもらい、トマス・アクィナス著『神学大全』やホセ・ヨンパルト著『学問と信仰』などの本が生き延びることになった。
記事中で、長谷川一・明治学院大教授(メディア論)はこう述べている。
「出版物の著作権は雑誌の小さなコラムなどにもある。一括で管理することは難しいが、著作権保有者を探す人を支援する仕組みがあってもいいのではないか」
帝国データバンクによると過去20年間の出版社の倒産件数は年平均で約30社。1社あたりの平均負債額は2000年代の3億6400万円から、2010年代は1億5100万円へと減ったというが、今後も中小の倒産・廃業は続くと思われる。
●コロナ禍で新聞離れが加速、5月度のABC部数の衝撃
このほど、2021年5月度のABC部数が公表された。それによると、朝日新聞は約471万部で、前年同月比較で約37万部も減らしている。読売新聞は、約711万部で、こちらも約51万部も減らしている。
デジタル化による紙離れの加速とコロナ禍が影響しているのは、間違いない。
日経新聞は、約186万部で約21万部減、産経新聞は約119万部で12万部減となっている。つまり、各紙とも、部数の約1割を1年で失っているわけで、このペースでいくと、早晩、大新聞はなくなってしまうだろう。
朝日新聞:4,714,358(−369,225)
毎日新聞:2,003,834(−194,490)
読売新聞:7,111,343(−512,437)
日経新聞:1,860,086(−209,794)
産経新聞:1,191,632(−123,407)