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20/12/02●年間ベストセラー発表、『鬼滅の刃』関連本が上位独占

●年間ベストセラー発表、『鬼滅の刃』関連本が上位独占

 日本出版販売とトーハンは、12月1日、2020年の年間ベストセラーを発表した。それによると、総合1位は日販が吾峠呼世晴・矢島綾『鬼滅の刃 しあわせの花』(集英社)、トーハンが上半期に引続き『The WORLD SEIKYO 2020年春号』(聖教新聞社)となった。

 日販の順位を見ると、上位は『鬼滅の刃』関連本の独占状態となっている。1位『鬼滅の刃 しあわせの花』、2位『同 片羽の蝶』が2位、4位『同 風の道しるべ』。

 なお、12月4日に発売される『鬼滅の刃』最終巻(第23巻)は、初版395万部、23巻合わせた発行部数は1億2000万部(電子版含む)に達することになる。

原作:吾峠呼世晴 著者:矢島 綾 (JUMP j BOOKS)

20/11/26●ペンギン・ランダムハウスがサイモン&シュスターを20億ドルで買収

●ペンギン・ランダムハウスがサイモン&シュスターを20億ドルで買収

 11月25日、アメリカ「ビッグ5」の一つサイモン&シュスターは、ペンギン・ランダムハウスに約20億ドルで売却することに合意したと発表した。サイモン&シュスターの親会社はメディアコングロマリットのバイアコムCBS。ペンギン・ランダムハウスの親会社はドイツのベルテルスマンである。結局、バイアコムからベルテルスマンに移ったことになるが、これでますます出版の寡占化が進むと、全米作家協会(Author’s Guild:AG)やPENアメリカなどが反対声明を出した。アドバンス料金が下がり、企画の質も低下すると、著者サイドは警戒している。 

 バイアコムは、3月に、TV・映画製作や動画のストリーミングサービスなどを中核事業とするため、旧来の書籍ビジネスの売却を発表していた。

20/11/18●「地球の歩き方」が事業譲渡、ダイヤモンドから学研へ

●「地球の歩き方」が事業譲渡、ダイヤモンドから学研へ

 ダイヤモンド社は、11月15日、子会社の「ダイヤモンド・ビッグ社」が発行する「地球の歩き方」をはじめとする旅行ガイドブック出版事業などを終了し、2021年1月付で「学研」子会社の「学研プラス」に事業譲渡することを発表した。

 「地球の歩き方」は1979年創刊。近年は日本国内シリーズも発行され、「離島」などテーマガイドが人気を集めていた。また、東京五輪を当て込んで「東京版」を発行し、増刷を重ねていた。

 しかし、近年、海外旅行ガイドブックは二つの理由で売上が激減、かつてのように収益を上げることは不可能になっていた。

 一つは、ガイド機能がネットに移行してしまったこと。もう一つは、日本経済の低迷で日本人の海外旅行が減ったことだ。これに、日本の人口減が追い打ちをかけている。

 ダイヤモンド側は「新型コロナウイルスの感染拡大によって海外旅行の重要が減り」と説明したとされるが、コロナ以前から事業は低迷していた。

 それを考えると、学研がなぜこの事業を引き受けたか非常に疑問だ。

20/11/09●独立系書店オンラインストア「Bookshop」が爆発的成功を!

●独立系書店オンラインストア「Bookshop」が爆発的成功を!

 『1日の売上を500万円から7億8000万円に1年たらずで成長させた独立系オンライン書店サービス「Bookshop」とは?』(「GIGAZINE」2020年11月5日)という記事を読んで、さっそくそのサイトに行ってみたら、これが本当にすごかった。これなら、Amazonの寡占状態に対抗できるし、使い勝手もいい。

https://gigazine.net/news/20201105-online-indies-bookshop-rival-amazon/

「Bookshop」は、インデペンデント系の書店が独自のオンラインショップを開設できるプラットフォームで、書店モールのようなものだが、本に関して本当に充実している。

「GIGAZINE」の記事によると、「Bookshop」は設立された当初、2020年3月時点で1日の売上が500万円ほどだったところを、現在では1日の売上げを7億8000万円にまで成長させているという。

 Bookshopの仕組みがAmazonと違うのは、書店側が売上の全利益(カバー価格の30%)を得ることが可能なため、書店支援になること。カスタマーサービスと配送は書店とその販売代理店パートナーによって処理され、配送に時間がかかる場合はディスカウントも行われる。スマホでもAmazon同様にワンクリックでオーダーが完了できるので使い勝手は抜群だ。

 Amazonは、メーカーやブランドから個性を奪い、すべてにAmazonブランドを冠する「アグリゲーター」方式との批判があったが、「Bookshop」はインデペンデント系書店そのものを尊重している。

 なお、「Bookshop」は社会や公益のために事業を行っている「Bコーポレーション」の認証を受けており、規則によりAmazonを含むアメリカの大手小売業者に買収されることが禁じられているという。

  Bookshop: Buy books online. Support local bookstores.
  https://bookshop.org

20/11/01●「通信品位法230条」ヒヤリングの最中、GAFA3社が最高益を記録

●「通信品位法230条」ヒヤリングの最中、GAFA3社が最高益を記録

 10月29日、アメリカ上院のヒヤリング(公聴会)に、グーグル、ツイッター、フェイスブック3社のCEOが呼ばれて(オンライン)、詰問された。これは、「通信品位法230条」の改正を巡る公聴会で、問題のあるコンテンツが投稿された場合、プラットフォーム側はパブリッシャーではないので免責されるという法律。つまり、ネットのプラットフォームは単なる「導管」で、テレビや新聞などと違い、発信した情報の責任は問われないというもの。ただし、「卑猥(ひわい)、みだら、扇情的、下品、過度に暴力的、嫌がらせ、そのほかの不快と感じる内容」は例外とされ、プラットフォームは自らの裁量で投稿内容を削除することにはなっている。

 トランプは「廃止すべきだ!」と大統領令に署名までし、バイデンも廃止に賛同しているので、どうなるのかが注目されている。

 さて、そんな最中、GAFAのうち3社が最高益、好業績を記録し、大きなニュースになっている。10月29日に発表された7〜9月期の決算では、アップル以外はみな増収増益。

 グーグル(アルファベット)は、売上高が前年同期比14%増の462億ドル、純利益は59%増の112億ドル。アマゾンは、売上高が前年同期比37%増の961億ドル、純利益は300%増の63億ドル(過去最高)。フェイスブックは、売上高が前年同期比22%増の215億ドル、純利益は29%増の78億ドルといった具合だ。アップルだけは、売上高が前年同期比で1%増の647億ドルだったものの、純利益は7%減少して126億ドルだった。これは、中国での売上高が79億ドルと29%も減少したからだという。

 いずれにしても、GAFAはコロナ禍にまつたく影響されず、成長を続けている。デジタルエコノミーはどんどん進展している。

20/10/30●『鬼滅の刃』が映画、歌、コミック売上すべてで記録的大ヒット

●『鬼滅の刃』が映画、歌、コミック売上すべてで記録的大ヒット

 吾峠呼世晴『鬼滅の刃』が空前の人気になっている。映画『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』が封切られると、公開から10日間で興行収入100億円を達成し、邦画としては最速を記録。これまでの最速記録『千と千尋の神隠し』の25日間を抜いた。テレビアニメでの人気がそのまま映画に移行し、爆発した。

 これに伴い、音楽でも関連作がヒット。LiSAが歌う映画主題歌『炎』、テレビアニメオープニング曲『紅蓮華』、椎名豪 featuring 中川奈美によるテレビアニメ挿入歌『竈門炭治郎のうた』が、トップ3を独占。

 原作のコミックのほうも、最新22巻が、週間32.6万部を売り上げ、10月30日発表の最新「オリコン週間コミックランキング」で4週連続となる1位となった。これで、『鬼滅の刃』既刊全22巻の総売上は9000万部を突破した。

20/10/29●KADOKAWA、第二四半期は売上高2%減ながら営業益は22%増で過去最高を記録

●KADOKAWA、第二四半期は売上高2%減ながら営業益は22%増で過去最高を記録

 コロナ禍がどの程度メディア業界の業績に響くか注目すされるなか、KADOKAWAが、10月29日、2021年3月期の第2四半期累計(4~9月)の連結決算を発表した。それによると、売上高975億5300万円(前年同期比2.9%減)、営業利益78億4700万円(同22.8%増)、経常利益81億4000万円(同19.6%増)で、最終利益52億600万円(同16.1%減)となった。営業利益は半期ベースで過去最高だ。
 コロナ禍による自粛生活は、コンテンツの需要を増加させ、電子書籍やゲーム、教育が好調に推移した結果という。

20/10/25●NYの老舗書店「ストランド」のコロナ禍で支援訴えに賛否が!

●NYの老舗書店「ストランド」のコロナ禍で支援訴えに賛否が!

 NYマンハッタンの独立系書店「ザ・ストランド・ブックストア」(Strand Book Store)が、新型コロナの影響により売上が約70%減少したとして、地元住民に支援を訴えてニュースになった。

 この書店には、NY滞在中には必ず1度は足を運んでいる。独立系ならでは老舗で、観光客向けのグッズも充実して、いつも賑わっていた。

 三代目のオーナー、ナンシー・バス・ワイデン(Nancy Bass Wyden)氏によると、来店者、とくに観光客の減少がこたえたようだ。しかし、彼女の夫のロン・ワイデン(Ron Wyden)氏はオレゴン州の上院議員(民主党)でミリオネア。パンデミック中にライバルのアマゾン株を購入していること。アマゾン以外にも、アルファベットやアップル、フェイスブック、エクソン、3Mなど優良企業の株式を数百万ドルも保有していることから、非難の声も出たという。

 ストランド書店は、コロナ禍で連邦政府から100万ドル以上の特別融資を受けながら、3月下旬、事業を継続するため、約190人の従業員を一時解雇すると発表したことも、指摘された。これに対して、ワイデン氏は「建物を所有しているのは幸運なことであり、そうでなければとっくに破産している」。「顧客なしには小売業を維持することはできない」「個人の資産から毎年200万ドルを、書店の運営費用として支出している」と反論した。

写真:daily sunny.com 

20/10/10●ジブリが映画画像400枚を無償提供。著作権を緩める意味は?

●ジブリが映画画像400枚を無償提供。著作権を緩める意味は?

 スタジオジブリ(が、公式サイトでジブリ映画の画像計400枚の無償提供を始めたことを、読売新聞が記事にしている。公開されているのは「千と千尋の神隠し」「ゲド戦記」「崖の上のポニョ」「借りぐらしのアリエッティ」「コクリコ坂から」「風立ちぬ」「かぐや姫の物語」「思い出のマーニー」の計8作品。これにより、ユーザーは、パソコンの壁紙やポストカードに使用したり、SNSのメッセージに貼り付けたり、自由な使い方ができるようになった。

 サイトでは、鈴木敏夫プロデューサーが直筆メッセージで「常識の範囲でご自由にお使い下さい」と呼びかけている。

 これは、事実上の著作権の放棄だが、鈴木氏は前々から、これを考えていたようだ。それは、8月のラジオ番組で「著作権を緩めて、みんなが使いやすい環境をつくらないと、(作品が)消えちゃう」と述べていたと、読売記事は伝えている。

 今後、公開作品は毎月追加される予定で、各作品50枚をめどに、全ジブリ作品を公開するという。画像は公式サイトhttp://www.ghibli.jp/からダウンロードできる。

20/09/28●相次ぐ著名人の自殺に報道自粛を国が要請

●相次ぐ著名人の自殺に報道自粛を国が要請

 9月最後の日曜日の朝、衝撃的なニュースが流れた。女優の竹内結子(40)の自殺。夫と幼子を残した首吊り自殺という点も衝撃だが、今年は著名人、とくに芸能人の自殺が相次ぐことも衝撃を大きくさせた。

 木村花(22)、三浦春馬(30)、芦名星(36)、藤木孝(80)に次いで竹内結子、いったいなぜ、死に急いだのか?

 コロナ禍の渦中だけに、報道がヒートアップするのも無理もない。それで、政府・厚労省と「いのち支える自殺対策推進センター」は、27日、過度な報道を控えるようにメディア関係者へ求める文書を公表した。WHO「自殺報道ガイドライン」も紹介し、「子どもや若者、自殺リスクの高い人の後追いを誘発しかねない」と、自粛を求めたのである。

 しかし、なにか腑に落ちない。メディアの過度な報道が、はたして自殺を誘発するだろうか? 最近は、記事の後に自殺についての相談窓口が紹介されるようになった。