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21/02/09●グーグルが中高生のインターネット利用白書公開

●グーグルが中高生のインターネット利用白書公開

 グーグルが、「中高生のインターネット利用白書 」を公開した。これは、中高生と教員を対象とした調査で、生徒は教員の想像以上にネットを活用していることがわかり、興味深い。とくに、インターネット利用のメリットにおいて、生徒たちが「自分で経験したこと」と先生が「生徒が実感していると思うこと」の間で大きな乖離が見られる。「以前よりも世の中のニュースに関心を持つようになった」「自分の将来についてより具体的に考えられるようになった」の 2 項目が、とくに乖離が大きい。また、ネットのトラブルでは、「SNS で知らない人から不快なメッセージが来た」「ネット詐欺にあいそうになった」は先生の想定と子どもたちの実感の間に 3 〜 5 倍の違いがあった。

 この白書は、2 月 1 日~ 3 月 18 日は、日本政府が主導する「サイバーセキュリティ月間」に合わせたものという。「サイバーセキュリティ月間」などというものがあるのを、初めて知った。

https://services.google.com/fh/files/misc/gwg_jp_whitepaper_students2021.pdf

21/01/27●コロナ禍が好影響、出版物販売額が前年を上回る。電子出版は約30%増

●コロナ禍が好影響、出版物販売額が前年を上回る。電子出版は約30%増

 1月26日、NHKニュースが次のような報道をした。

《去年1年間の出版物の推定販売額は、コロナ禍で本の需要が高まったことなどから電子出版が前の年と比べて30%近く増加し、紙の出版と合わせた市場全体でも2年連続で前の年を上回りました。出版業界の調査や研究を行う出版科学研究所のまとめによりますと、去年1年間の出版物の推定販売額は、紙と電子の合計で前の年より4.8%多い1兆6168億円と、2年連続で前の年を上回りました。》

  まさに、コロナ禍が出版不況を吹き飛ばしたような報道だが、延びたのは電子出版だけ。その売り上げは、3931億円と前の年を28.0%上回る大幅な伸びとなった。ただ、電子出版の9割はコミックスで、コミックスは前年より31.9%増えて3420億円を記録した。そして、この売り上げ増を招いたのは、ひとえに「鬼滅の刃」の爆発的なヒットである。

 つまり、出版不況は依然として続いており、紙は年ごとに減っている。たとえば、雑誌の売り上げは、発売中止や休刊などによって大幅に落ち込み、前年より1.0%少ない1兆2237億円となった。

 ところが、NHKニュースは、こう結んでいる。
《出版科学研究所は「今後の推移を見ていく必要があるが、長引く出版不況が好転する兆しを示す結果となった」としています》

21/01/22●グーグルが仏出版社と記事転載への対価支払いで合意

●グーグルが仏出版社と記事転載への対価支払いで合意

 グーグルは1月21日、インターネット上に掲載する記事への対価支払いを巡り、フランスの出版社団体「APIG:Alliance de la presse d’information générale 」と基本合意したことを発表した。これは、プラットフォーマーが正式に「著作隣接権」を認めたもので、この合意によって、APIGは情報量やアクセス数などを基準にして対価を得られることになった。

 これまでグーグルは、自分たちに無料でコンテンツを使用させない新聞社、出版社などに対し、検索結果の優先順位を下げるということをしてきた。フランス当局は、2020年4月、グーグルに交渉に応じるよう勧告していた。

  この合意は、コンテンツ制作側(著作権保持者)とプラットフォーマーとの新しい関係に道を開くもので、今後、合意していない国や地域でも、同じような合意がなされるものと思われる。

21/01/20●ネットフリックス絶好調、会員数2億人突破!

●ネットフリックス絶好調、会員数2億人突破!

 ネットフリックスは1月19日に2020年10〜12月期決算を発表した。それによると、売上高が前年同期比22%増の66億4444万ドルで過去最高を更新した(ただ純利益は同8%減の5億4215万ドル)。

 また、2020年末時点の有料会員数は2億366万人となり、配信事業を始めて約13年で2億人突破を達成した。

 2020年通期の会員の純増数は3657万人。これは、2019年の2783万人、2018年の2861万人を上回った。コロナ禍の「ステイホーム」が会員増につながったのは間違いないが、ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』の大ヒットも会員増に貢献した。

『クイーンズ・ギャンビット』 (NETFLIX)

21/01/15●今年は「高齢者の紙離れ」がますます加速か!

●今年は「高齢者の紙離れ」がますます加速か!

 コロナ禍のせいもあるが、プリントメディアの業績が大幅に悪化している。とくに新聞はひどい。たとえば、朝日新聞はABC発表部数でも500万部を割ってしまった。毎月数万単位で部数を落としている。

 そこで、スマホの普及率を見ると、全世代における普及率は単身世帯で64.1%、二人以上世帯で84.4%となっていて、60歳以上では二人以上世帯で76.0%に達している。これに、まだ使われているガラケーを加えれば80%を超えるので、高齢世代でも「紙離れ」は進んでいるのは間違いない。

 すでに情報はデジタルが主流で、プリントメディアは補完的な役割になっている。

 そう見ると、厳しいのはプリントメディアのなかでも新聞で、すでに「有料の新聞から無料のネットニュースへ」という流れは定着している。

 コロナ禍は続いているので、今年は「高齢者の紙離れ」がますます進むだろう。

グラフ出典:ガベージニュース 

20/12/30●出版販売額 16年連続で減少が確定。『鬼滅の刃』だけが目立った2020年

●出版販売額 16年連続で減少が確定。『鬼滅の刃』だけが目立った2020年

 コロナ禍の影響も大きいが、今年もまた、例年と同じく出版物の販売額は減少することが確定した。出版科学研究所によると、今年、国内で出版された書籍と雑誌の売り上げは、1月から11月までの販売実績をもとにした推計で、去年よりおよそ2%少ない1兆2100億円台となる見込みとなった。これは16年連続のことで、もはや紙出版は完全な斜陽ビジネスとなった。 今年の出版界で目立ったのは、やはり『鬼滅の刃』。コミックスは、「ステイホーム」により需要が高まったが、そのなかでもダントツの売り上げを記録した。しかし、雑誌全体の落ち込みはひどく、また書籍では旅行ガイドブックがまったく売れなかった。

20/12/10●文藝春秋とnoteが資本業務提携

●文藝春秋とnoteが資本業務提携

 文藝春秋と協力関係にあった「note」(写真、音楽、映像などの作品配信サイト)が、業務提携することになった。文藝春秋を引受先とする第三者割当増資を実施し、noteが資金調達する。

 すでに、両社は、2019年11月から、月刊「文芸春秋」のデジタル定期購読サービスのサイトで連携し、「文芸春秋digital」を誕生させている。

 業務提携はその発展形で、文藝春秋は今後、人材交流により、デジタル人材の育成を進める。一方、「note」は、運営メディア「cakes」の編集力を高める。「cakes」では、これまで掲載記事がたびたび炎上してきた。

20/12/08●小学館集英社プロダクション、米マーベル・コミックスと新契約

●小学館集英社プロダクション、米マーベル・コミックスと新契約

 小学館集英社プロダクションは、12月7日、米マーベル・コミックスとマーベルのアメリカンコミックスの邦訳出版に関する新たな契約を締結したと発表した。

 この新契約により、2021年1月から、マーベルのアメリカンコミックスの邦訳版はすべて小学館集英社プロダクションが展開する出版レーベル「ShoPro Books」より刊行される。また、新刊、既刊も含め、マーベル・コミックスの電子書籍の配信も行うことに。

20/12/02●年間ベストセラー発表、『鬼滅の刃』関連本が上位独占

●年間ベストセラー発表、『鬼滅の刃』関連本が上位独占

 日本出版販売とトーハンは、12月1日、2020年の年間ベストセラーを発表した。それによると、総合1位は日販が吾峠呼世晴・矢島綾『鬼滅の刃 しあわせの花』(集英社)、トーハンが上半期に引続き『The WORLD SEIKYO 2020年春号』(聖教新聞社)となった。

 日販の順位を見ると、上位は『鬼滅の刃』関連本の独占状態となっている。1位『鬼滅の刃 しあわせの花』、2位『同 片羽の蝶』が2位、4位『同 風の道しるべ』。

 なお、12月4日に発売される『鬼滅の刃』最終巻(第23巻)は、初版395万部、23巻合わせた発行部数は1億2000万部(電子版含む)に達することになる。

原作:吾峠呼世晴 著者:矢島 綾 (JUMP j BOOKS)

20/11/26●ペンギン・ランダムハウスがサイモン&シュスターを20億ドルで買収

●ペンギン・ランダムハウスがサイモン&シュスターを20億ドルで買収

 11月25日、アメリカ「ビッグ5」の一つサイモン&シュスターは、ペンギン・ランダムハウスに約20億ドルで売却することに合意したと発表した。サイモン&シュスターの親会社はメディアコングロマリットのバイアコムCBS。ペンギン・ランダムハウスの親会社はドイツのベルテルスマンである。結局、バイアコムからベルテルスマンに移ったことになるが、これでますます出版の寡占化が進むと、全米作家協会(Author’s Guild:AG)やPENアメリカなどが反対声明を出した。アドバンス料金が下がり、企画の質も低下すると、著者サイドは警戒している。 

 バイアコムは、3月に、TV・映画製作や動画のストリーミングサービスなどを中核事業とするため、旧来の書籍ビジネスの売却を発表していた。