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22/09/10●八重洲ブックセンター本店が2023年3月で閉店

 東京駅前にある大型書店「八重洲ブックセンター本店」は9月9日、2023年3月で営業を終了すると発表した。 

 八重洲ブックセンターは、1978年にゼネコン大手の鹿島による出店で、国内最大の書店としてオープンした。売りは、100万冊の在庫。2016年にはトーハンが株式の過半数近くを鹿島から取得し、トーハンのグループ書店に組み込まれた。しかし、出版不況で業績不振、ここ数年は赤字が続いていた。同店は、2028年度に竣工予定の超高層大規模複合ビルへの入居を計画しているという。

 思えば、1970年代半ば〜1980年代半ばは、大型書店の時代だった。1975年に西武ブックセンター、1978年に八重洲ブックセンター、1981年に三省堂書店本店、東京堂書店と次々にオープンした。しかし、いまや西武ブックセンター(リブロ池袋)も、三省堂本店もない。20代、30代のとき、何度も足を運び、1日中、本を探し回ったことも、はるか遠い日の思い出だ。

都市型大型書店として人気だった©️Yahooニュース

22/08/08●2021年度電子書籍市場、前年比14.3%増の5510億円に!

 2021年度の電子書籍市場が、大幅に伸びたことが、インプレスグループのインプレス総合研究所の『電子書籍ビジネス調査報告書2022』で公表された。 
 それによると、市場規模は5510億円で、前年比14.3%増。内訳は「コミック」が4660億円、「文字もの等」(文芸・実用書・写真集など)が597億円、「雑誌」が253億円となっている。
 つまり、電子書籍市場は、コミックが全体の約85%を占める市場で、電子書籍といっても一般書籍は10%程度にすぎない。また、雑誌は4年連続で減少しており、いずれ、市場から消える運命にある。このまま、コミック市場が伸びていけば、2026年度に8000億円を超えると、インプレスでは予測している。

22/07/25●2022年上半期の出版物推定販売金額は前年同期比3.5%減の8334億円

 全国出版協会・出版科学研究所が『出版月報』7月号(7月25日発売)でレポートしているところによると、2022年上半期(1~6月)の、紙と電子を合算した出版物の推定販売金額は前年同期比3.5%減の8334億円。紙は5961億円(同7.5%減)、電子出版は2373億円(同8.5%増)で、全体ではマイナスとなった。ただ、出版科学研究所推計の紙の出版物販売額は取次ルートのみで、直販や書店との直接取引は含まれない。

[書籍]
 紙の出版物のうち、書籍は3526億円(同4.3%減)。文芸、ビジネス、文庫本、新書、学参など主要ジャンルがいずれも前年割れとなり、これまで好調だった児童書も約3%減少している。

[雑誌]
 雑誌は2434億円(同11.8%減)で、月刊誌(コミックス・ムック含む)は2033億円(同12.8%減)、週刊誌は401億円(同6.3%減)。月刊誌のうち、月刊定期誌は約5%減、ムックは約1%減、コミックスは約26%減と大きく減少した。

[コミックス]
 コミックスの約26%減という大幅なマイナスは、2020年の『鬼滅の刃』(集英社)、2021年の『呪術廻戦』(集英社)の『東京卍リベンジャーズ』(講談社)などのメガヒットがなかったことによる。ただ、コロナ禍の2年間を差引いてみた2019年比では、約10%増だ。

©️出版状況クロニクル

[電子出版市場]
 電子出版市場の伸びは鈍化。内訳では、電子コミックだけが増で2097億円(同10.2%増)、電子書籍(文字ものなど)が230億円(同0.4%減)、電子雑誌が46億円(同13.2%減)。 
 出版科学研究所は「コロナ禍の巣ごもり需要で増加したユーザー数の伸びが落ち着き、市場は成熟期に入ったと見られます」とコメントしている。
 電子コミックは、メガヒット作品こそ少なかったが、「ピッコマ」などマンガアプリの売れ行きが非常に好調で、縦スクロールコミックの伸びも目立ったという。 

22/07/05●日本漫画家協会、「インボイス制度導入」に反対声明

 7月4日、日本漫画家協会は公式ホームページで「現行のインボイス制度導入反対について」と題した声明文を発表した。先に日本SF作家クラブの理事一同も同様な声明を出している。

 インボイス制度の導入が決まれば、免税事業者取引も対象としていた仕入税額控除は2023年10月から6年間の経過措置を経て廃止されることになる。そうなると、漫画家、作家、イラストレーター、フリーライターなどは、インボイス(適格請求書)を発行できる課税事業者になるか、免税事業者のままで活動を続けるかどうかの決断を迫られる。

 そうなると、免税事業者のままでいる決断をした場合、漫画家や作家たちは、仕入税額控除ができなくなる納品先の企業から、当人の納税者としての立場を理由とした、不当な取引中止を申し渡されるリスクに直面する。

 さらに、前々年度の課税売上高が1000万円以下で「免税事業者」に該当する漫画家や作家が「課税事業者」への変更を余儀なくされることや、インボイスを発行できない場合、免税事業者であることを理由に取引を中止される可能性も生じる。

 また、インボイス発行事業者は「適格請求書発行事業者公表サイト」に本名が公表されるため、個人情報保護への懸念を抱く漫画家や作家もいる。

 日本漫画家協会の声明は、最後に「現行のインボイス制度には反対し、見直しを求めます」と訴えている。

22/07/02●小説はウェブ発が主流になり小説本は激減。紙の文芸は消滅か

 文春ウェブが『文芸市場の半分は「ウェブ発」の書籍が占める時代に…!? 市場縮小が進む文芸界で“ラノベ界隈”が見据える未来とは』という記事を掲載し、飯田一史氏の著書『ウェブ小説30年史 日本の文芸の「半分」』(星海社新書)より一部を抜粋して紹介している。

 文芸市場は、ここ10年間で半減し、しかも残ったその半分はウェブ発の小説の書籍化で成り立っている。つまりウェブ小説以外の文芸市場は4分の1になり、文芸市場の半分は「ウェブ発」の書籍が占める時代になったことを、本書は伝えている。
 日本出版販売が発表した調査によると、2010年の売上を100としたときの文芸市場の売上は2021年には46.4。市場規模の縮小が恐ろしいスピードで進行していることがわかる。
 さらに、進行しているのは、ウェブ発の文芸市場の4割がラノベであるということ。そのラノベ市場も、ピークは2016年で、市場全体としては下降線に入っている。こうしたことから見ていくと、いずれ紙による文芸というジャンルは消滅する可能性が高い。

22/07/02●もはや書店はいらない? コミックはデジタルコンテンツとなり電子販売が主力に

 2022年の東京書店組合加盟数は、2021年の291店から14店減の277店と公表された。現在、東京も含めた日書連加盟書店数は2887店で、この数はここ20年で半減している。日書連加盟書店を含めた全国の書店数は2001年まで2万店以上あった。しかし、現在では8000店ぐらいにまで減ったとされている。
 すべてがデジタル化されていく現在にあって、これは仕方のないことである。

 書店の売り上げを支えてきたのは雑誌とコミック(漫画)だが、紙の雑誌はもはや時代のライフスタイルに合わなくなり消滅寸前。コミックはほとんどがウェブコンテンツに様変わりしている。
 『出版月報』によると、2021年のコミック市場(紙+電子)は前年よりも633億円、10.3%増。紙の雑誌が11%減、紙のコミックスが0.4%増、電子が20.39%増。コミック市場全体の販売額は史上最高額を更新しているが、紙のほうは減少。この減少は年々拡大している。すでに電子は、紙の雑誌すべての売り上げよりも多くなっている。

 コミックを扱う電子のレーベルも増加が続き、紙で売れる作品は電子でも売れるという傾向が強まった。
 こうしたことから言えるのは、制作側の出版社にとっても、読者にとっても、もはや書店はそれほど価値がなくなったということだ。いずれ、書店はほぼなくなるだろう。
 ただし、デジタル化が進んでも、今日まで最大のヒット作は紙の週刊少年誌から出ているということは変わっていない。

22/07/01●2022年5月の雑誌の返品率は史上初の45%超

 2022年5月の書籍雑誌推定販売金額(ABC公表)は、734億円で前年比5.3%減。その内訳は、書籍は407億円で同3.1%減、雑誌は327億円で同7.9%減となっている。
 雑誌の内訳は、月刊誌が268億円で同7.4%減、週刊誌は58億円で同10.2%減。返品率は書籍が38.8%、雑誌は45.4%、月刊誌は45.8%、週刊誌は43.2%。
 雑誌の返品率が45%を超えたのは、史上初のことと思われる。出版しても半分が返品で破棄するしかないわけで、もはや雑誌はビジネスとして成り立っていない。なお、2022年1月から5月にかけての販売金額累計は6.9%減、書籍は3.4%減、雑誌は11.6%減である。

22/06/21●クールジャパン機構の累積赤字309億円。財務省が統廃合を検討

 新聞ほかメディアがいっせいに、クールジャパン機構(正式名「海外需要開拓支援機構」、官民共同出資のファンド)が統廃合されると伝えている。これは、財務省が6月20日、公表した官制ニュース。公表せざるを得ないほど、クールジャパンの実態はひどかったためで、その赤字額は、今年3月末時点309億円に上るという。
 20日の財務省の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)財政投融資分科会で、この状況が示されたうえ、統廃合が勧告された。それによると、コロナ禍の長期化で、投資先の一部で売上高が大幅に減少し、計画よりも52億円赤字が拡大した」となっているが、クールジャパンのこれまでの事業を見れば、コロナ禍とは関係なく、ほとんどが単なる日本製品の海外プローモトにすぎず、リターンの見込みがない税金のバラマキにすぎない。
 漫画やアニメなどがクールジャパンの目玉の一つだが、この政策によって売れたという話はまったくない。海外へのクールジャパンの進展は、ほとんどが個別企業の努力で、国はまったく役立っていなかった。

22/06/20●小学館の黒字決算に見るデジタルシフトによる出版の変質

 先日、6月10日、小学館は第84期(2021.3.1~22.2.28)決算を発表した。売上高は1057億2100万円(前年比12.1%増)。経常利益は89億4500万円(同23.4%増)、当期利益は59億9500万円(同5.7%増)で増益。4期連続の黒字決算となった。売上高が1000億円を超えたのは77期以来、7年ぶり。
 売上高の内訳は、「出版売上」470億5300万円(同0.6%増)、「広告収入」91億3700万円(同0.5%増)、「デジタル収入」382億8700万円(同25.2%増)、「版権収入等」112億4400万円(同43.0%増)。全4分野で前年実績を上回り、好調に推移した。
「出版売上」では、「雑誌」が170億2400万円(同7.8%減)、「コミックス」が166億0800万円(同2.3%増)、「書籍」が119億4500万円(同8.2%増)、「パッケージソフト」が14億7700万円(同42.8%増)。4部門中、雑誌以外の3部門で増収となった。

 この決算で重要なのは、「デジタル収入」382億8700万円、同25.2%増、「版権収入等」112億4400万円、同43.0%増という2つの分野が、「出版売上」を超え、しかも全分野の半分を占める500億円に迫っていることだ。

 つまり、小学館は雑誌が主力の出版社からデジタル、版権収入が主力の小学館へと移行しつつあるということ。これは、講談社、集英社、KADOKAWA、大手でコミックを持っているところはみな同じである。つまり、出版事業はもはやデジタルで成立するようになり、出版社のイメージは従来かたちと変わりつつある。そして、それにともない、書店の価値はどんどん薄れていく。書店数が激減しているのは、こうした現実の反映だ。

22/06/16●「赤坂から書店がなくなる」と朝日新聞記事が嘆いている

 東京・赤坂の「文教堂書店赤坂店」が、ビル建て替えのため6月17日で閉店。その前日、朝日新聞が嘆きの記事を出した。文教堂の閉店で、赤坂駅周辺の書店は実質“全滅”となり、利用者からは「非常に残念」といった声があがっているというのだ。
「書店の減少が止まらない中、赤坂からもなくなってしまうことの寂しさとショックは大きかったですね」
 と、赤坂店を担当する文教堂運営本部のエリアマネジャー、富田利之さん(52)は、朝日記事のなかで語っている。

©️みんなの経済新聞

 2021年3月に老舗の金松堂書店、22年1月にTSUTAYA赤坂店がそれぞれ閉店。周辺の書店は選書専門店「双子のライオン堂」を残すのみとなってしまった。
 しかし、感傷的になっても仕方ない。書店消滅はすべてがデジタル化、オンライン化される時代の流れであり、それにコロナ禍が追い討ちをかけたと言える。

 コロナ禍は、書店よりも飲食店に大きな打撃を与えた。赤坂近辺を歩けば、多くの飲食店が営業停止になっていることに気がつく。
 赤坂に限らず、都内の一等地では、小売ビジネスが窮地に陥っている。書店もそうだが、飲食やそのほかの小売業も高額賃貸料を負担できなくなくなっている。

 現在、生き残っている書店は、大別して2種類だ。一つは、在庫リスクを負わないよう取次から言われるまま本を仕入れている書店と、在庫リスクを負っても店主が自分の店に置きたい本を出版社から直接仕入れる独立系の書店だ。
 文教堂は前者で、赤坂店はコロナ禍で売り上げが半分に落ちたという。今後、こうした書店はネット販売のショールームとして生き残っていくしか道はないのではないだろうか。