投稿者アーカイブ mediatablet

21/02/18●投資ファンドがトリビューンを買収、リストラ加速必至

●投資ファンドがトリビューンを買収、リストラ加速必至

 アメリカでは新聞の再編が進んでいる。有力紙「シカゴ・トリビューン」などを持つトリビューン・パブリッシングは、このたびヘッジファンドの「アルデン・グローバル・キャピタル」による買収に合意したと発表した。アルデンはこれまで、地方紙を次々と傘下に収め、リストラを進めてきている。買収した地方紙は200ほどで、コロラド州の地方紙「デンバー・ポスト」の場合、記者を3分の1以下に減らして、資産の一部を売却している。

 そのため、この発表に対して、「シカゴ・トリビューン」紙の記者たちは「バッドニュースだ!」と反発した。発表では、株主の承認が得られれば、4~6月期に買収は完了し、傘下の地方紙「ボルティモア・サン」は地元公共団体に譲渡されるという。

21/02/17●衝撃、フタバ図書が「粉飾決算」を40年間も!

●衝撃、フタバ図書が「粉飾決算」を40年間も!

 中国地方の有力複合専門書店「フタバ図書」(広島市西区)は、この1月28日に事実上倒産し、事業再生計画を発表。3月からは、同名の新会社に事業を譲渡されることになっていた。

 が、2月17日、中国新聞は、同社が約40年にわたって粉飾決算を繰り返してきたことを、金融機関に対して説明していると報道した。同社は17金融機関から計235億円を借り入れていて、不適切な会計処理で負債を膨らませていったという。

 借入先は中国地方の金融機関をはじめ、四国、九州の銀行、メガバンク、政府系金融機関など。複数の金融機関が「黒字が続いている決算書を示された」と証言したと、中国新聞は報道している。

21/02/14●海賊版漫画サイトによる被害が再拡大

●海賊版漫画サイトによる被害が再拡大

 「日本経済新聞」記事(2021年2月13日)によると、海賊版サイトの被害が再拡大しているという。2020年の被害は、少なくとも2000億円にのぼり、正規市場の3分の1に匹敵するとか。

 講談社などでつくる一般社団法人ABJ(東京・文京)が海賊版でアクセス数が多い5サイトを分析したところ、2020年に無料で読まれた漫画の被害額は約2000億円超で過去最高規模。2020年12月に限れば414億円。新型コロナが深刻化する前の2020年1月の10倍に急増した。

 コロナ禍で、スマホやパソコンを触る時間が長くなり、海賊版へのアクセスが増えたとみられる。海賊版サイトへのアクセスは、2018年に閉鎖となった海賊版サイト「漫画村」のピーク時を3割上回る。

 現在、運営元は海外へ移っており、運営者の摘発は難しい。また、アクセス上位の大半はベトナムだそうだ。1月の法改正で海賊版のダウンロードが規制対象となったが、ストリーミング型は対象外で、この点に関しても懸念が広がる。

21/02/10●枻出版社が民事再生法の適用を申請し倒産

●枻出版社が民事再生法の適用を申請し倒産

 出版界としてかなり大きな倒産が起こった。メンズファッション誌の「ライトニング(LIGHTNING)」やバイク誌の「ライダースクラブ(RIDERS CLUB)」などの雑誌を多数出版している株式会社枻出版社の倒産だ。同社は、は2月9日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。帝国データバンクによると負債額は57億円、2020年3月期の売上高は55億円だった。 創業は1973年。年間500冊以上の雑誌を発行するかたわら、2001年にフードサービス事業部を設立して「用賀倶楽部」や渋谷ロフト2階に「渋谷シティラウンジ」(17年に閉店)などを構え、2009年には建築デザイン事業部を設立するなど経営は多角化していた。

21/02/09●グーグルが中高生のインターネット利用白書公開

●グーグルが中高生のインターネット利用白書公開

 グーグルが、「中高生のインターネット利用白書 」を公開した。これは、中高生と教員を対象とした調査で、生徒は教員の想像以上にネットを活用していることがわかり、興味深い。とくに、インターネット利用のメリットにおいて、生徒たちが「自分で経験したこと」と先生が「生徒が実感していると思うこと」の間で大きな乖離が見られる。「以前よりも世の中のニュースに関心を持つようになった」「自分の将来についてより具体的に考えられるようになった」の 2 項目が、とくに乖離が大きい。また、ネットのトラブルでは、「SNS で知らない人から不快なメッセージが来た」「ネット詐欺にあいそうになった」は先生の想定と子どもたちの実感の間に 3 〜 5 倍の違いがあった。

 この白書は、2 月 1 日~ 3 月 18 日は、日本政府が主導する「サイバーセキュリティ月間」に合わせたものという。「サイバーセキュリティ月間」などというものがあるのを、初めて知った。

https://services.google.com/fh/files/misc/gwg_jp_whitepaper_students2021.pdf

21/01/27●コロナ禍が好影響、出版物販売額が前年を上回る。電子出版は約30%増

●コロナ禍が好影響、出版物販売額が前年を上回る。電子出版は約30%増

 1月26日、NHKニュースが次のような報道をした。

《去年1年間の出版物の推定販売額は、コロナ禍で本の需要が高まったことなどから電子出版が前の年と比べて30%近く増加し、紙の出版と合わせた市場全体でも2年連続で前の年を上回りました。出版業界の調査や研究を行う出版科学研究所のまとめによりますと、去年1年間の出版物の推定販売額は、紙と電子の合計で前の年より4.8%多い1兆6168億円と、2年連続で前の年を上回りました。》

  まさに、コロナ禍が出版不況を吹き飛ばしたような報道だが、延びたのは電子出版だけ。その売り上げは、3931億円と前の年を28.0%上回る大幅な伸びとなった。ただ、電子出版の9割はコミックスで、コミックスは前年より31.9%増えて3420億円を記録した。そして、この売り上げ増を招いたのは、ひとえに「鬼滅の刃」の爆発的なヒットである。

 つまり、出版不況は依然として続いており、紙は年ごとに減っている。たとえば、雑誌の売り上げは、発売中止や休刊などによって大幅に落ち込み、前年より1.0%少ない1兆2237億円となった。

 ところが、NHKニュースは、こう結んでいる。
《出版科学研究所は「今後の推移を見ていく必要があるが、長引く出版不況が好転する兆しを示す結果となった」としています》

21/01/22●グーグルが仏出版社と記事転載への対価支払いで合意

●グーグルが仏出版社と記事転載への対価支払いで合意

 グーグルは1月21日、インターネット上に掲載する記事への対価支払いを巡り、フランスの出版社団体「APIG:Alliance de la presse d’information générale 」と基本合意したことを発表した。これは、プラットフォーマーが正式に「著作隣接権」を認めたもので、この合意によって、APIGは情報量やアクセス数などを基準にして対価を得られることになった。

 これまでグーグルは、自分たちに無料でコンテンツを使用させない新聞社、出版社などに対し、検索結果の優先順位を下げるということをしてきた。フランス当局は、2020年4月、グーグルに交渉に応じるよう勧告していた。

  この合意は、コンテンツ制作側(著作権保持者)とプラットフォーマーとの新しい関係に道を開くもので、今後、合意していない国や地域でも、同じような合意がなされるものと思われる。

21/01/20●ネットフリックス絶好調、会員数2億人突破!

●ネットフリックス絶好調、会員数2億人突破!

 ネットフリックスは1月19日に2020年10〜12月期決算を発表した。それによると、売上高が前年同期比22%増の66億4444万ドルで過去最高を更新した(ただ純利益は同8%減の5億4215万ドル)。

 また、2020年末時点の有料会員数は2億366万人となり、配信事業を始めて約13年で2億人突破を達成した。

 2020年通期の会員の純増数は3657万人。これは、2019年の2783万人、2018年の2861万人を上回った。コロナ禍の「ステイホーム」が会員増につながったのは間違いないが、ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』の大ヒットも会員増に貢献した。

『クイーンズ・ギャンビット』 (NETFLIX)

21/01/15●今年は「高齢者の紙離れ」がますます加速か!

●今年は「高齢者の紙離れ」がますます加速か!

 コロナ禍のせいもあるが、プリントメディアの業績が大幅に悪化している。とくに新聞はひどい。たとえば、朝日新聞はABC発表部数でも500万部を割ってしまった。毎月数万単位で部数を落としている。

 そこで、スマホの普及率を見ると、全世代における普及率は単身世帯で64.1%、二人以上世帯で84.4%となっていて、60歳以上では二人以上世帯で76.0%に達している。これに、まだ使われているガラケーを加えれば80%を超えるので、高齢世代でも「紙離れ」は進んでいるのは間違いない。

 すでに情報はデジタルが主流で、プリントメディアは補完的な役割になっている。

 そう見ると、厳しいのはプリントメディアのなかでも新聞で、すでに「有料の新聞から無料のネットニュースへ」という流れは定着している。

 コロナ禍は続いているので、今年は「高齢者の紙離れ」がますます進むだろう。

グラフ出典:ガベージニュース 

20/12/30●出版販売額 16年連続で減少が確定。『鬼滅の刃』だけが目立った2020年

●出版販売額 16年連続で減少が確定。『鬼滅の刃』だけが目立った2020年

 コロナ禍の影響も大きいが、今年もまた、例年と同じく出版物の販売額は減少することが確定した。出版科学研究所によると、今年、国内で出版された書籍と雑誌の売り上げは、1月から11月までの販売実績をもとにした推計で、去年よりおよそ2%少ない1兆2100億円台となる見込みとなった。これは16年連続のことで、もはや紙出版は完全な斜陽ビジネスとなった。 今年の出版界で目立ったのは、やはり『鬼滅の刃』。コミックスは、「ステイホーム」により需要が高まったが、そのなかでもダントツの売り上げを記録した。しかし、雑誌全体の落ち込みはひどく、また書籍では旅行ガイドブックがまったく売れなかった。