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23/01/02●日本の出版は大手4社がほぼ寡占状態にある

[出版状況クロニクル176(2022年12月1日~12月31日)]に、『ノセ事務所より、2021年の「出版社実態調査」が届いた。今回は501社の出版社の実績が掲載レポートされ、それは次の3ランクに分類されている。』という記事があり、興味深い。以下、引用してみたい。

J1出版社 10億円以上売上 247社

J2出版社 5億~10億円売上 104社

J3出版社 1億~5億円売上 150社

 それぞれの売上高はJ1が1兆5320億円、シェア93.9%、J2が661億円、同4.0%、J3が341億円、同2.1%、合計売上は1兆6322億円、前年比0.4%増となる。
 その第1の特色は1000億円を超える4社の突出ぶりで、それらは集英社、講談社、KADOKAWA、小学館である。
 第2の特色は日本の出版社の零細性で、5億円以下は254社、50.7%を占める。しかもJ3の従業員数は150社のうちの129社が10人以下で、独自の専門性にもかかわらず、その零細性を浮かび上がらせている。
 第3の特色は利益の脆弱性で、J1は7割強が利益を出しているが、J2、J3の中小出版社の大半は利益が上がっておらず、売上も減少している。
 21年のトータルでの0.4%増も上位出版社の電子出版、版権ビジネス、新たなマーケット開発によるものである。

22/12/21●講談社退社理由が「WEBTOON」を思いきりやることに納得

「note」のブログ『20年間勤めた講談社を退職しました。』が面白い。詳しい内容は省き、以下、冒頭と最後を転載させてもらう。この経緯と退職・転職理由に大いに納得した。

《はじめまして、ムラマツと申します。2022年末をもちまして株式会社 講談社を退職することとなりました。2002年に講談社に入社して、週マガ→ライバル→ヤンマガ→コミックDAYS立ち上げ→モーニング…とマンガ編集畑だけを20年にわたり歩んできましたが、2023年1月からはサイバーエージェント社に入社し、CyberZ社の「Studio ZOON」でWEBTOONをがんばろうと思います。》

《最後に。日本のWEBTOONは慢性的なクリエイター不足です。先に「質でも量でも中韓に比べて日本は2歩ほど遅れている」と書きましたが、日本のマンガ界の異常な厚みを考えると全体の5%も参加すれば追いつけると思ってます。》

22/12/20●大田丸、初の年間ベストセラー発表 1位は『80歳の壁』

 大田丸は、このほど、加盟書店11法人・126店舗による年間ランキングを初めて公開した。その「2022年 年間ベストセラー」の「総合」トップ3は、和田秀樹『80歳の壁』(販売部数=1万3309冊、幻冬舎)、永松茂久『人は話し方が9割』(1万0718冊、すばる舎)、厚切りジェイソン『ジェイソン流お金の増やし方』(9897冊、ぴあ)。集計期間は昨年12月1日から今年11月30日まで。

22/12/12●NWのクールジャパンの惨状記事があまりに痛い!

 ニューズウィークのサイトに『クールジャパン機構失敗の考察……日本のアニメも漫画も、何も知らない「官」の傲慢』(古谷経衝)という記事が掲載された。読んで、いちいち納得し、絶望的な気分になった。
 記事は、クールジャパン機構を推進してきた官僚たちが、いかに日本の文化、伝統、そして漫画やアニメなどのコンテンツに無知で、「日本はすごい」と単純に過信してきたために、徹底して失敗したことを糾弾している。
 私はこれまで、このことを何度も記事にし、本にも書いた。マレーシア・クアラルンプールの「ISETAN The Japan Store」に行けば、誰もがそう思うはずだ。なぜ、こんな馬鹿げたストアをつくったのか、本当に気が知れない。

https://www.newsweekjapan.jp/furuya/2022/12/post-32.php

 古谷氏は、記事のなかで、こう書いている。
《私が知る限り日本における政治家のほとんどすべてがそうである。日本のアニメ、漫画は世界中でファンを獲得している、クールジャパンこそが日本における数少ない輸出コンテンツだ、成長戦略の中核である、云々。猫も杓子も政治家はこのようにいう。しかし彼らは、自らが称揚するこういった日本のカルチャーにまったく触れている形跡がない。》
《要するに彼らは、日本人であり日本社会で生きながら、漫画やアニメといったコンテンツ自体に触れていない。》
《要するに彼らはクールジャパン~と言っておきながら、その中核をなすアニメ・漫画を観るのも読むのも億劫だし、ゲームをプレイする意欲もないし、そもそも関心がないのである。》
 これは、以前から私が思っていたこととまったく同じだ。
 つまり、何も知らないのに、単にカネをつぎ込んだだけというのがクールジャパンで、なんとすでに309億円も税金をすってしまったのである。
 最後に古谷氏は、こう書く。
《これを教訓に二度と類似組織を作るべきではなく、アニメも漫画もゲームも、政府は放っておいて二度と介入しないでいただきたい。》 

 まさに、その通りだ。

22/12/03●2022年10月の書籍雑誌推定販売金額は845億円で前年比7.5%減!

 出版科学研究所によると、2022年10月の書籍雑誌推定販売金額は845億円で前年比7.5%減。もはや、毎月、前年比でマイナスを記録するのは日常茶飯事になった。それほど、紙の出版物は市場を失っている。
 雑誌の内訳は月刊誌が296億円で、同10.8%減、週刊誌は64億円で、同4.3%減。返品率は書籍が34.1%、雑誌は43.8%で、月刊誌は43.4%、週刊誌は45.5%と、惨憺たる状況だ。前年比で見ていくと、今年は毎月、マイナス幅が大きくなっている。このままいくと、今年度の書籍雑誌書販売額は、大幅な減は間違いない。

22/12/01●オリコン年間ベストセラー1位は『ジェイソン流お金の増やし方』(ぴあ)

 オリコンは、11月30日、2022年の本の年間ランキングを発表。BOOKランキングの1位は、期間推計48万6588部を売り上げた厚切りジェイソンの『ジェイソン流お金の増やし方』(ぴあ)となった。2位は和田秀樹『80歳の壁』(幻冬舎)、3位は両@リベ大学長『本当の自由を手に入れる お金の大学』(朝日新聞出版)。


 コミックの1位は、芥見下々『呪術廻戦(18)』(集英社)、文庫の1位は原田ひ香『三千円の使いかた』(中央公論新社)。

 オリコンランキングの集計期間は、2021年12月6日~2022年11月20日。調査協力店舗数はネット通販を含む全国書店3979店舗。

22/11/30●朝日新聞約61万部、読売新聞は約47万部の大幅部数減に!

 発表された10月のABCによると、朝日新聞はこの1年間で約61万部の部数減となり、400万部の大台を割り込んで約396万部。読売新聞は約47万部の部数減となり、約657万部となった。
 以下が、いわゆる5大紙の部数。
 こうした部数減がどこかで止まるという見込みはなく、新聞社は紙媒体という立ち位置から、大きく業態を変えていくだろう。

朝日新聞:3,961,962(-609,548)
毎日新聞:1,845,772(-133,140)
読売新聞:6,567,738(-470,330)
日経新聞:1,673,118(-179,936)
産経新聞:990,743(-70,533)

22/11/28●取次大手2社、トーハン日販ともに大幅減収決算

 11月28日、トーハンは2022年度連結中間(2022.4.1~同9.30)決算の概要を発表した。それによると、連結子会社26社の連結売上高は1913億8300万円(前年同期比10・2%減)、営業損失は7億4300万円(前年は11億2600万円の利益)、経常損失は6億4100万円(前年は11億1900万円の利益)、親会社に帰属する中間純損失は9億5700万円(前年は4億7800万円の利益)。「トーハン」と「書店系10社」の売上高が大幅に減収となり、赤字になった。
 トーハン単体では、売上高は1786億7300万円(同10.5%減)で、営業損失は9億6100万円(前年は5億0200万円の利益)、経常損失は5億5000万円(前年は9億5200万円の利益)、中間純損失は6億2000万円(前年は2億7100万円の利益)。
「書籍」「雑誌」「コミック」「マルチメディア」の全4部門で売上げが減少した。
 トーハンに先立つ25日、日販グループホールディングスは、連結子会社36社の連結中間(2022.4.1~同9.30)決算の概要を発表した。売上高は2198億1300万円(前年同期比10.8%減)で、営業損失1億0400万円(前年は16億4500万円の利益)、経常利益は1500万円(前年同期比99.2%減)と大幅に減少した。ただし、親会社株主に帰属する中間純利益は11億7800万円(同19.9%増)と、グループ全体では経常利益を確保した。
 とはいえ、日本出版販売単独では、売上高は1775億4100万円(同11.7%減)で前年から約235億円減少。営業損失は6億2600万円(前年は4億3700万円の利益)、経常損失は4億9400万円(前年は5億3200万円の利益)、中間純損失は5億8400万円(前年は3億4800万円の利益)と赤字決算。
「書籍」「雑誌」「コミックス」「開発品」の全4部門で減収。返品率は「雑誌」が同3.7ポイント改善したが、他の3部門が増加し、総合で同0.4ポイント悪化した。

22/11/27●海外で日本のマンガが爆発的に売れた原因は、間違いなく「コロナ禍」が原因

『なぜいま海外で日本のマンガの売上が爆発的に伸びているのか? 欧米の出版関係者が語る“その熱狂”』という記事が、「クーリエ・ジャポン」に掲載された。元記事は英「ガーディアン」。
 記事の冒頭にこうある。
〈いまや世界中で親しまれている日本のマンガだが、とくにここ数年、欧米でその販売数が飛躍的に伸びている。日本のマンガはいかにして世界のメインストリームとなったのか、英紙「ガーディアン」が現地の関係者たちを取材した。〉

 というわけで、彼らが原因としてあげたのが、コロナ禍によるロックダウン。要するにマンガは、ロックダウンで閉じ込められた室内での娯楽の王様となったということ。
 米国の場合、NPDブックスキャンの集計によると、2020年のマンガの販売部数は968万部だったが、2021年には160%増の2520万部に急増。同年、マンガは米国の印刷書籍市場全体において、2番目に成長率の高いカテゴリーである恋愛小説の数字を3倍上回り、成長率トップのカテゴリーとなった。

 この現象は、日本のマンガが売られているほとんどの国で起こり、英国、オーストラリアなど英語圏は過去にない販売数の増加が見られたという。ロックダウン中、マンガの在庫がなくなったことも、人気に拍車をかけた。
 では、どんなマンガが売れたのか?
 編集者たちが挙げたのは、『東京喰種 トーキョーグール』や、『進撃の巨人』、『僕のヒーローアカデミア』、『鬼滅の刃』といったアニ化されたシリーズだった。

22/11/27●ディズニーの新作アニメが記録的な大コケ。その理由は?

 感謝祭ウイークに公開されたゲイで黒人の少年を主人公にした初のディズニー映画『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』(Strange World)は、公開5日間で行収入(推定)1860万ドル(約25億円)を記録したが、『The wrap』は「ディズニー史上最も大コケした作品の一つ」になると報じた。
 製作費1億8000万ドル(約250億円)と言われる本作だが、公開初日の興行収入は420万ドル(5.8億円)。評判もいまいちで客足は伸び悩み、11月27日時点での世界興行収入は2780万ドル(約38億円)に留まっている。
 そのため、『Variety』は「壊滅的な結果」と表現。『Deadline』は「最終的に推定1億4700万ドル(約204億円)の損失になる」と報じた。
『CinemaScore』が行った出口調査では、観客によるレーティングは「B」。ディズニーのアニメ映画で、AもしくはA-を獲得しなかった作品は、1991年の調査開始以来初めてだという。
 なぜ、ここまで評判が悪いのか? ここまでの声を総合すると、「wokeが過ぎる」ということのようだ。