〈現在の大学生には信じてもらえないかもしれないが、かつて大学生の人気企業ランキング50位では、朝日新聞社、毎日新聞社、読売新聞社といった全国紙の新聞社が必ず上位にランクインしていた。就職するのは「宝くじを当てるよりも難しい」などという時代があった。〉
という書き出しで始まる坂夏樹氏(元新聞記者)の「プレジデント・オンライン」の記事『昔は宝くじ以上の競争倍率だった…憧れの職業だった「新聞記者」がここまで没落したワケ』は、なるほどという悲哀にあふれた記事だ。
https://president.jp/articles/-/56554
坂夏樹氏は、「他社に特ダネを打たれてもいいから休め」「テレビを見て取材すればいい」という編集幹部の言動が出るようでは、新聞(ジューナリズム)は終わりだと指摘する。そして、自身が大学で講師としてジャーナリズムの講義を新聞記者志望の学生に、志望が本気なら、〈例外なく「やめた方がいい」とアドバイスした。〉という体験談を述べる。
その理由を大学から聞かれると、こう説明したという。
〈「日本の新聞社から、一からジャーナリストを育てる力が失われつつある」と説明したうえで、「安物の新聞記者で一生を終わっていいのなら応援します。でも、真剣にジャーナリズムの世界を目指している学生には、とても勧めることはできません」と曲げなかった。〉
これは、新聞記者に限らず、出版社の雑誌記者、編集者でも同じだ。私も、かつて同じように、ジャーナリズムに行くべきではないと、相談を受けた学生たちに語ってきた。
なぜなら、いくら志望しても、新聞社にも出版社にもジャーナリズムなどなくなってしまったからだ。
坂夏樹氏は、次のように指摘する。
〈デジタル化が進み、人減らしが露骨になってくるのと比例するように、心を病む記者が増えてきた。〉
〈デジタル化の進展による「徹底的な人減らし」。デジタル化で出現した「会話のない職場」。新人の記者はほったらかしにされることが普通になった。〉